なぜ大規模修繕の費用が足りなくなってしまうのか
大規模修繕はマンションの安全性と快適性向上のために欠かせない工事ですので、時期が来たら行わなくてはなりません。しかし、費用が足りず工事に入れないというマンションも少なくありません。ここではどのような時に費用が不足するのかご紹介します。
長期修繕計画が適切ではない
大規模修繕や改修工事は長期修繕計画に沿って行われます。工事日程や内容だけではなく、費用の見通しなど修繕の全ての基礎となるのがこの計画のため、不備や誤りがあると具体的に資金計画を立てた時に資金が足りなくなることがあります。
トラブルを防ぐために専門的・技術的知識の盛り込まれた計画を立てることが重要ですので、専門家と共に正確なプランを作る必要があります。
修繕積立金が集まらない
修繕積立金の徴収方法には、「均等積立方式」や「段階増額積立方式」、「一時金方式」などがあります。均等積立方式は長期修繕計画によって求められた修繕工事費の合計金額を、入居時から均等に積み立てていくものです。
段階増額積立方式は、入居時の積立額は少なく設定し、居住年数に合わせて積立額を段階的に多くしていくものです。一時金方式は、修繕を行う際に一時金を集めます。
新築マンションの購入者に対しては「段階増額積立方式」が採用されることが多く、急遽値上げすると同意が得られない可能性があります。「均等積立方式」の場合は、建物の状態によって積立金を値上げせざるを得ないことがありますが、 こちらも反発されることが予想されます。
全ての居住者に同意を得て着実に修繕費を積み立てることは容易ではなく、滞納などの積み重ねで修繕費の不足に陥ることは十分にあり得ます。
大規模修繕の費用が足りない時の対処法
大規模修繕は長期修繕計画に基づいて工事内容や日程、予算などが組まれるため、計画が適切ではないと費用が足りない事態に陥ります。また、修繕積立金の回収法にはいくつかありますが、値上げの際には居住者の同意を得られないと反発や滞納などで徴収が難しくなるケースがあります。では、大規模修繕の費用が足りなくなった時はどうすればよいのでしょうか。
大規模修繕工事の内容を見直す
大規模修繕は専門性の高い工事ですので、綿密な計画が求められます。費用が足りなくなったらコンサルタント会社などに工事内容を確認してもらい、工事計画を立て直すことで費用不足の解消につながります。依頼する費用の負担が厳しい状況である場合、知識のある管理組合員がいれば専門委員になってもらうという手もあります。
もしくは複数の業者に見積もり依頼するのもおすすめです。複数の見積もりを比較することで、必要な工事や適正な工事時期、費用などを知ることができます。
大規模修繕の時期を遅らせる
一般的に大規模修繕工事の目安は12年に一度です。しかし、工事内容によって修繕時期の目安は異なるため、修繕内容によっては工事を遅らせることが可能です。
たとえば給水ポンプや排水ポンプの補修は8~10年周期で行うことが理想ですが、国交省の長期修繕計画作成ガイドラインではエレベーターの補修は15年、取替となると30年周期が望ましいとされています。
以上のことから、大規模修繕は一度に全てやらないといけないわけではありません。設備の状態を確認して問題なければ、工事の時期を遅らせることもできます。工事のサイクルが長いほど修繕積立金を多く集めることができるため、工事費用の調達がラクになります。本当に必要な工事を洗い出し、修繕計画を立てましょう。
一時金を徴収する
一時金とは、大規模修繕の際に毎月の修繕積立金とは別に一括で回収する修繕費のことです。マンションの専有面積に応じて金額が決められます。一時金の徴収は、月々の管理費が修繕積立金よりも少ないときに行われます。管理費が少なければ修繕費用が不足した際に補うことが難しく、一時金の徴収をせざるを得なくなります。
大規模修繕はまとまった額のお金が必要となるため、全ての区分所有者から徴収できないこともあり、金融機関などからの融資を利用する方法がとられることが多いようです。
金融機関や独立行政法人から融資を受ける
一時金の徴収が難しいとなると、民間の金融機関からリフォームローンなどの融資を受けたり、独立行政法人住宅金融支援機構のマンション共有部分リフォーム融資などを利用することになります。
管理組合として借り入れを行うことになるため、総会での決議が必要です。融資を受ければ返済義務も生じますので、修繕積立金の値上げを検討するなど、計画的な返済が求められます。
地方公共団体を活用する
金融機関や独立行政法人からの融資の他に、住宅金融支援機構と連動した融資制度を設けている地方公共団体もあります。融資を受ける際は確認してみると良いでしょう。
管理組合に専門家の派遣を行ってくれる自治体もあります。大規模修繕の計画の見直しや、費用で不安なことがある際には活用してみてください。
施工会社を管理組合で探す
大規模修繕の施工業者を管理会社などに決めてもらうことで、工事対応も管理会社がしてもらえるため組合の負担軽減となりますが、工事費が高くなる傾向にあります。管理会社を通して施工業者に工事を依頼すると、施工業者は下請けの立ち位置となり仲介手数料が発生することがあります。仲介手数料が発生することで業者の利益は少なくなり、手抜き工事につながるリスクもあるため、技術力のある業者に組合から直接工事を依頼しましょう。
施工業者を選ぶ際は、複数業者から見積もりをとることをおすすめします。見積もり依頼をすることで、現在どのような工事が必要なのか知ることができます。また、工事内容で疑問点があった場合に質問をすることで、業者との相性を知ることも可能です。
そして、複数の見積もりがあることで工事の相場を知ることもできるため、費用が適正化されるメリットがあります。どれほど技術力のある業者でも工事後に問題が起こらないとは限らないため、アフターフォローの充実している業者を見極めて依頼しておくと安心です。
大規模修繕費用不足を予防する方法
費用が足りなくなったときは、工事内容の見直しや修繕時期を遅らせるなど、計画の再考をまずすべきです。
必要な工事や工事費用を正確に把握するためにも、管理会社に任せきりにするのではなく管理組合が業者を選ぶことで仲介手数料が発生せず、コストを抑えることになります。それでも費用が足りなければ一時金を徴収したり、金融機関の融資や地方公共団体の補助金を利用しましょう。
費用が足りないときの対処法はいくつかありますが、資金不足の解消は容易ではないため、前もって修繕費を確保することが賢明です。その予防法をご紹介しましょう。
管理費の内訳を見直す
管理費と合わせて修繕積立金を徴収している場合、管理費の内訳を見直すことで修繕費に充てる金額を増やせることがあります。管理費は管理会社に支払う委託費などで構成されていますが、その費用を減らしたり管理会社を変更するなどの工夫をしましょう。
修繕積立金を値上げする
管理費の削減が難しければ修繕積立金を値上げをするしかありません。管理費の見直しであれば居住者の毎月の出費は変わりませんが、値上げとなると反発もあると思います。値上げに納得してもらうためには、修繕費用が不足していることを示す根拠などを明確にし、時間をかけて居住者の説得するしかありません。
定期的にメンテナンスする
マンションの屋根や外壁は野ざらしのため劣化が激しく、メンテナンスを怠ると大規模修繕時に大がかりな工事をすることになるため、費用を抑えるには定期的なメンテナンスが欠かせません。
まず、外観に汚れなどがないか確認しましょう。外壁のひびやタイルの剝がれの有無がポイントです。その他、外壁のすき間を埋めるシーリングもメンテナンスが必要です。シーリングが劣化すると細かい亀裂が発生し、亀裂が広がることで壁が剥がれ落ち、建物を地震や雨風などからの衝撃から守ることができなくなります。
3~5年ごとに点検し、わずかな亀裂でも確認したら新しいシーリング材にしましょう。 外壁塗装には防水効果がありますが、経年と共に防水効果が低下します。防水効果の低下した外壁は雨水などをどんどん吸収し、建物内部の鉄骨や木材を腐敗させ、強度に悪影響を及ぼすため定期的な塗り替えが不可欠です。
そして、屋根も定期メンテナンスが欠かせない箇所の一つです。屋根材や下地に問題がなければ、屋根の塗り直しのみで美観を保ちながら損傷を直すことができます。このように定期メンテナンスでトラブルを予防することは、大規模修繕工事を最小限に抑えることにつながります。
まとめ
大規模修繕の費用が足りなくなる原因や不足した際の対処法、不足する前にできることをご紹介しました。大規模修繕は修繕積立金が集まらないなどで費用が不足してしまったり、具体的に修繕費用の計画を立てた時に費用が足りないことが判明するケースがあります。
そのため、修繕計画の見直しや工事の時期を遅らせることで、費用不足を解消できることもあります。計画の見直しではどうにもできない場合は、金融機関の融資や補助金を利用することになります。
このような事態に陥らないためには、管理費の内訳を見直して修繕積立金に充てる金額を増やしたり、修繕積立金の値上げをするなど確実に修繕費を貯めたり、定期的にメンテナンスを行い最小限の修繕に留めるようにすることが大切です。
大規模修繕はマンションの安全性維持には欠かせませんので、万一費用が不足したら適切に対処しましょう。
いかがでしたでしょうか。なるべく費用を抑えてリフォームをしたい方へお知らせです。リフォマは中間業者を介さずに、ご要望に合う専門業者を直接ご紹介します。中間マージンが上乗せされないため、管理会社や営業会社などより安く費用を抑えることができます。下記のボタンからお気軽にご相談ください!
まずは相談から