2018年7月11日

長屋解体で知っておきたい基礎知識と注意すべき箇所

日本の伝統的な建物の一つに「長屋」があります。長屋は、2戸以上の住宅が壁や柱を共有しているため、そのうちの1戸だけ解体する際は、他の住宅に影響が出ないよう作業を行わなければなりません。ここでは、長屋に関する基礎知識と解体時に注意すべきことをご紹介していますので、しっかりと理解してから解体に臨みましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • メールで送る

長屋ってどんな建物なの?

長屋

出典:photoAC

長屋の解体工事について説明する前に、その基本的な構造について触れておきます。
古い町並みが残るところに多く見られ、2戸以上の住宅が横長に繋がっている、日本の伝統的な建物の一つです。

長屋は壁や柱などの家屋の一部を共有しているため、一見すると一戸建ての大きな建物のように見えます。しかし実際は、玄関、階段、廊下は各戸にそれぞれ設けられています。
つまり、長屋は、独立している住居が連なった1棟の建物だと解釈してください。

長屋の解体を行うときに注意すべきこと

長屋の構造からも分かるように、壁や柱など家屋の一部を隣家と共有しています。そのため、他の居住者が今後の生活に支障をきたすことのないように、綿密な事前準備や配慮を行わなくてはいけません。
しかし、承諾を得て工事を進めてもトラブルに発展することがあります。

着工前に各居住者と意思疎通を図るとともに、両者が納得して工事を進めることが重要です。長屋の解体工事では、戸建て住宅を解体するときとは異なった配慮が必要となり、さらに業者の技術力と知識も問われます。

施主はすべて業者任せにするのではなく、長屋解体に関わる法律や最低限の知識は得ておきましょう。そうすることでクレームの防止やトラブル回避にもつながります。

長屋解体時の注意点は以下の4点です。
各項目について簡単に説明しますので長屋の解体工事を行うときに役立ててください。

1.専門家に建物調査診断、家屋調査などの調査をしてもらう

2.各所有者に対し、業者から作業手順や解体後の安全性をしっかりと説明してもらう

3.「区分所有法」により、長屋の各所有者から書面による承諾を得る

4.解体後、共有部分の補修保全工事を行う

1.専門家に建物の現状を調査してもらう

一般的に建物を解体するときは、工事前に建物の現状を把握し、適切な工事方法や見積もり金額を明確にするために、業者による事前調査が行われます。 特に、長屋は築年数の古いことが多いため、建築士による「建物調査診断」や土地家屋調査士による「家屋調査」が必須です。

先述したように、長屋は壁や柱を隣家と共有しており、一つの家屋を解体すると強度が低下してしまい、最悪の場合は建物全体が傾いてしまう恐れがあります。
そのため、建築士に長屋の構造を調査してもらい、安全に解体できる物件なのかをきちんと判断してもらってから工事に取り掛かる必要があるのです。

また、もともと壁にのひびが入っていたにも関わらず、「工事により壁にひびが入ったので、補修してほしい」など、工事後に起こりがちな隣人からクレームがくるケースがあります。

このような隣人とのトラブルに対処する手段として、工事前に長屋の外壁や建物内部の状態を土地家屋調査士に調査してもらい、現状を写真に残しておくとよいでしょう。問題が発生した場合に活用することができるため、大きなトラブルに発展することが少なくなるはずです。

2. 各所有者に対し、業者からしっかりと説明してもらう

解体工事中に隣家の工作物などに損傷を与えてしまうケースがあります。
事前の調査により、解体後に大切になる耐震補強工事なども明確にすることができますので、隣人の不安を解消することにつながります。

長屋は所有者が共有している一部分を解体するため、戸建て住宅をまるごと一棟解体する工事とは作業方法や手順も異なります。
解体後も、他の所有者は長屋に住み続けるわけですから、業者や施主は安心してもらえるように努めなくてはいけません。

3.長屋の各所有者から書面による承諾を得る

長屋のように一つの建物がいくつかに区分され、それぞれの部分が独立した住居になっている建物では、「建物の区分所有等に関する法律」によって、各所有者の権利と義務が定められています。 そのため、各所有者の同意を得ずに解体工事をすることはできません。

隣家と隣り合う壁はもちろん、柱も共有部分ですので影響を及ぼす可能性のある解体工事を行う時は、長屋の各所有者の3/4以上の承諾が必要になります。

解体工事は、何かと近隣トラブルに発展しやすいため、通常の住宅解体よりも隣人への配慮を行うと共に、慎重に工事を行わなければなりません。
共用部分の一部分を取り壊すことにより、隣人に影響を及ぼす場合は、個別に許可を得る必要があります。

そして所有者から承諾を得た際には、口頭ではなく書面による承諾(覚書)をもらっておくことが大切です。工事前に口頭で承諾をしてくれた方でも、後になって「承諾した覚えはない」と言ってくることも考えられます。

書面による承諾を得ていれば、話がこじれたときに証拠として掲出することができます。

4.解体後、共有部分の補修保全工事を行う

解体後は住居を仕切っていた左右の壁、もしくは左右どちらか一方が外壁となります。 そのため外壁としての機能を果たすためには、外壁の保守保全工事が重要です。
補修方法には、トタン補修、モルタル補修、サイディング補修などがありますが、施主が行う補修は現状と同程度とされています。

所有者が現状よりも高機能の外壁を希望した場合は、増額分はその所有者が負担することが一般的のようです。

業者選びで確認するべきポイント

長屋解体工事における業者の選び方のポイントは全部で3つあります。

1.解体業の許可を持っている業者を選ぶ

2.長屋の解体工事の実績が豊富な業者を選ぶ

3.複数の業者から比較検討してから業者を選ぶ

1. 解体業に必要な許可を持っている業者を選ぶ

解体業者を選ぶ上で、必要な許可を保有しているかどうかを確認することがとても重要です。

解体を行う業者は、「解体工事業者の登録」もしくは「建設業許可」を必ず保有するように国が定めています。
これらの許可を保有していることが最低条件であり、保有せずに解体業を行うことはできません。

2. 長屋解体の実績がある業者を選ぶ

長屋解体は、解体工事の中でも特殊な工事と言えます。作業員の技術力や豊富な経験や知識が必須のため、どんな業者でもこなせるわけではありません。
従って、依頼する業者は解体業に不可欠な許可を保有しているのはもちろんのこと、長屋の解体工事の実績が豊富なところを選んでください。

経験豊富な業者であれば、これまで培ってきた経験を活かして、慎重にスムーズに工事を進めてくれるでしょう。

3. 複数の業者から見積りを取り、比較検討する

長屋の解体工事に限らず、どのような工事を依頼するでも、複数の業者から見積りを取って比較検討しなくてはいけません。

そうすることで、素人にはわかりにくい解体工事の費用相場や、適切な工事内容を見定めることができます。見積書に書かれた工事内容だけでなく、着工前の調査についてもしっかりと確認しておきましょう。

まとめ

長屋は2戸以上の住宅が連なっているため、その中の1戸だけを部分的に解体する際は、近隣の所有者に影響が及ばないように細心の注意を払いながら工事を行わなくてはいけません。

トラブルなく解体工事を進めていくためには、着工前の事前調査が必須です。
すべての居住者に配慮し、工事内容や安全性をしっかりと説明して、書面での承諾を得ておくことも大切です。

また依頼する解体業者は必要な資格を保有しており、なおかつ長屋解体作業の経験が豊富であるかを確認してください。
それを踏まえて3~4社に依頼し、見積もりの工事内容や金額を比較検討してから、丁寧に対応してくれる業者を選定しましょう。

いかがでしたでしょうか。なるべく費用を抑えてリフォームをしたい方へお知らせです。リフォマは中間業者を介さずに、ご要望に合う専門業者を直接ご紹介します。中間マージンが上乗せされないため、管理会社や営業会社などより安く費用を抑えることができます。下記のボタンからお気軽にご相談ください!

リフォマは中間業者を介さずに、ご要望に合う専門業者を直接ご紹介します。中間マージンが上乗せされないため、管理会社や営業会社などより安く費用を抑えることができます。
リフォマなら中間マージンカットで専門業者をすぐ紹介