2018年7月6日

初めての住宅解体で失敗しないために 見積もりのポイントとは?

実家が空き家になったり、土地の売却や建て替えで住宅解体することになったとき、業者に見積もり依頼をしたものの見方が分からず困っていませんか?ここではそんな方のために、見積もりのポイントと解体業者選びの基準についてご紹介します。初めて解体工事を行うという方は、参考にしてみてください。

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住宅解体を行うまでの流れ

住宅解体

出典:photoAC

まずは、解体工事をするまでの流れを把握することから始めましょう。
見積もり依頼時するときのポイントや、どのタイミングで業者選定をすべきかなど詳しくご説明します。

  1. 解体業者を詮索
  2. 見積依頼
  3. 現地調査
  4. 業者が見積書の提出
  5. 見積書比較と解体業者の選定
  6. 解体業者と契約
  7. 近隣への挨拶
  8. 行政への申請
  9. インフラ設備の撤去依頼
  10. 解体工事開始

解体工事は以外とやるべきことがたくさんあります。
上記の10項目のうち、1~6までが解体業者選びのために行うことです。この業者選びにおいて何が大切になるのでしょうか。

見積もり依頼は複数の解体業者で行う

最初のステップとして、どの解体業者に依頼するかを決めていきます。このときのポイントは1社に絞らないということです。 解体現場の近隣にある業者をリストアップして、3~5社程度に見積依頼をしてください。複数の業者に依頼するのにはもちろん理由があります。

  • 解体工事の基本費用が業者によって異なる
  • 相見積もりの形になることで適正な値段を出してもらえる
  • 見積書を比較することで悪徳業者を省くことができる

上記の3点が複数の業者に依頼する理由ですが、それぞれの理由についてもう少し詳しく説明します。

解体工事の基本費用が業者によって異なる

解体工事は定価がありません。同じ工事でも業者ごとに使用する重機や解体方法が異なるため、費用に差が出でくるからです。そのため、複数の業者に依頼することで、解体工事費用の安い業者を見つけることができます。

相見積もりの形になることで適正な値段を出してもらえる

解体業者に1社だけ依頼すると、相場よりも高い金額を提示してくることがあります。ところが競合相手がいると、あまりに値段が高いと他社に取られてしまうため、適正な価格での見積書作成につながります。

見積書を比較することで悪徳業者を省くことができる

複数の業者に依頼することで見積書を比較することができます。極端に値段の高い業者や、反対にあまりにも低すぎる業者というのは、悪徳業者かもしれません。

1社だけ依頼した場合は、悪徳業者か見抜くことが難しいのですが、3~5社に依頼することで明らかにおかしい業者を見つけることができるだけでなく、後のトラブルを未然に防ぐことができます。

現地調査は必ず行う

見積書を作るにあたって、現地調査は必須です。
施工の実績がある解体業者ですと、建物の図面や写真などから解体工事の費用をある程度は推定できます。このため、現地調査せずに見積書を出す業者があります。

解体現場はすべて状況が違うため、実際に現地に行って確認しないと分からないことが多々あります。現地調査をしなかった結果、現場に重機の搬入が出来なかったり、近隣の方に迷惑をかけてしまうなどの問題が発生しやすくなりします。
現地調査をしないという業者があれば、トラブル回避のために選定から外しておきましょう。

また、できるだけ現地調査には立ち会うようにします。遠方の現場では行くのが大変なこともあり、業者にすべて任せたくなりますが、現地調査は情報の共有や業者の対応が分かる大事な場です。

現地調査で細部まで決めておけば見積書の精度もあがりますし、信用できる業者かどうか判断しやすくなります。 現地調査は必ず行って、できるかぎり立ち会うようにしてください。

解体工事の見積もりでチェックすべき点

見積書が提出されると、その内容を比較しなくてはいけません。業者によっては大まかな工事費や簡易なもので済ますところがあります。これでは比較検討ができませんし、何よりも追加工事費を請求されたり手抜き工事をされる可能性があります。

必ずすべての業者に詳細な見積もりを提出してもらい。どのような作業に対して、いくらかかるのかを教えてもらいましょう。

見積書のチェック項目

ここで見積金額が大事なのは言うまでもありませんが、チェックすべきポイントは見積もりに含まれている作業内容です。
一般的に解体工事では次のような費用が発生します。

  • 仮設工事費
  • 解体工事費
  • 附属工事費(テラス・ベランダ、樹木、ブロッグ塀等)撤去処分費
  • 諸経費(行政への届出費用等)
  • 産業廃棄物の処分費用
  • 整地工事

見積書に「解体費用一式」とだけ書かれていた場合は、その中に上記のすべてが含まれているのかどうか分かりませんよね。工事内容が明記されていないと、追加料金が発生するかもしれないと不安になってしまいます。

必ずそれぞれの工事内容と費用についての詳細を出してもらいましょう。その中に上記の工事内が含まれていないものであれば、担当者に行ってもらえるのか確認してください。 例えば、見積もりに整地工事がなかったときは「整地工事が含まれていませんが、こちらは行ってもらえるのでしょうか?」などと質問します。

解体工事費の相場はいくら?

出された見積書に対して、その金額が妥当であるかも判断しなくてはいけません。とはいえ工事費用は現場によって変わってきますので、なかなか判断が難しいところです。
ここではそんな解体工事の内容ごとの費用相場をご紹介しますので、参考にしてみてください。

項目費用相場
仮設工事費500~1000円/㎡(架面積)
解体工事費20,000~50,000/坪(木造)
附属工事費80,000~30,0000円
諸経費工事費用総額の5~30%
産業廃棄物の処分費用5,000~20,000円/㎥
整地工事3,000~6,000円/㎡

仮に30坪の木造建築では、最低でも150万近くかかる計算です。
業者によってはこの金額より安くなることも高くなることもあります。次に、この金額は住宅本体を解体した際の費用であり、解体工事は住宅以外にも費用が必要になることがあります。

住宅解体以外に発生する可能性のある費用

解体工事では、どうしても工事をしてみないと金額が分からない費用があります。
それらは見積もり除外項目とされ、追加請求の対象となります。見積もり除外項目による追加請求は不正なものではありませんので、後で問題にならないためにもどのような項目があるのが頭に入れておきましょう。

地中障害物・埋蔵物

現地調査でどうしても調べきれない箇所が、建物の地下部分です。「家の下には何も埋まってないよ」と思っている方もいるかもしれませんが、浄化槽古井戸などが残っているケースがあります。他には以前の家の廃材が埋まっていることも考えられます。

整地にして売るには、それらの地中障害物や埋蔵物を取り除かなくてはいけません。自分が埋めたわけではなくとも、土地を売ったあとに発覚すると撤去費用を請求されることもありますので、解体時に取り除いておきます。

地中障害物や埋蔵物については、優良な業者であれば見つけ次第すぐに報告してくれます。現地で確認するか写真を送ってもらうなどして、撤去費用の見積もりを出してもらった上で取り除いてもらいましょう。

不用品の処分

現地調査で建物の内部まで確認していないときは、不用品の処分についても追加請求が発生します。室内にどれだけの不用品があるのかわからないと、どんなに経験豊富な解体業者でも見積もりに反映させることができません。

これらの追加請求を避けるためにも、現地調査ではきちんと立ち会うようにしましょう。立ち会いができないため内部のチェックをしていない場合は、工事が終わるまで処分費用が不確定となります。

アスベスト

アスベストが全面使用禁止になったのが平成18年ですので、それ以前に建てられた家では使用されているかもしれません。このアスベストは通常の産業廃棄物と一緒に捨てられないですし、取り除く作業では飛散しないように慎重に行う必要があります。

アスベストの除去費用は300㎡(90坪)で2.0万~8.5万円/㎡ほどですが、アスベストの使用量によっても変わってきます。どれだけのアスベストが使われているかは、取り除いてみないと分かりませんので、追加費用が請求されることがあります。

人件費

人件費は1人につき10,000~15,000円が相場です。 解体にかかる費用は見積もり内に収めることができますが、交通誘導員などを雇っていたり、埋蔵物などの影響で解体工事の期間が延びてしまうと、追加で人件費がかかります。工期が延びると人件費が嵩むということを頭に入れておきましょう。

解体工事を進めるうえで注意すべきポイント

解体業者の中には悪徳業者などもいますので、トラブルに合わないためにも、いくつか注意したいポイントがあります。ここでは、どのような点に注意をして解体工事を進めていけばいいのかについて説明していきます

見積もりの金額だけで業者を選ばない

出してもらった見積書は、必ず細部までチェックした上で比較検討してください。見積もり金額だけで業者を選んでしまうと、工事中や工事後にトラブルが発生するケースがあります。解体工事は高額な費用がかかりますので、1円でも安いところに依頼したくなりますが、安いのには何かしら理由があります。

見積書に必要な工事内容が含まれていなかったり、見積もり金額を最初だけ低く見せて後から高額な追加請求をするなど、最終的な支払いが多くなるだけでなく、工事をきちんと行わないこともあるので注意が必要です。

特に実家のように遠方にある建物ですと、現場確認を頻繁にできないこともあって、廃棄物を地中に埋めて整地されたケースもあります。業者を選ぶ際は金額の前に信用できる業者であることが重要です。ここなら大丈夫と思える業者に絞った上で、その中から見積もり金額の安いところを選定してください。

近隣トラブルの責任は明確にしておく

解体工事では騒音や振動が発生するため、近隣トラブルを100%回避することはできません。しかし、事前に挨拶まわりをすることでトラブル防止につながります。工事する日や内容を伝えることで、近隣の方も工事日を避けて行動できます。

念のためトラブルが発生したときの責任を明確にしておきます。基本的には業者負担になりますが、確認しておかないと「自分たちが負担する義務はない」と逃げられてしまうケースがあります。

トラブルがないのが1番ですが、契約をする前に近隣トラブルについてどのように対処するのか、誰が責任を持って対応するのかをきちんと打ち合わせしておきましょう。

追加作業が必要になった場合は都度報告してもらう

地中障害物や埋蔵物があったときには、まず業者から報告をしてもらい、見積書が出てから除去作業をするのが基本です。業者によっては黙って取り除いてから、追加請求するようなことがあるので注意しましょう。

現場の証拠も残さずに「取り除きましたので」と言う業者もいます。このケースではそもそも地中障害物などが本当にあったのかもあやしいですよね。契約をするときに許可なく追加作業をしたものは支払わないなど、取り決めたことを契約書に明記し、想定外のことが起きたときは必ず都度報告してもらうことが重要です。

まとめ

解体工事をスムーズに行うためには、安心して任せることができる解体業者にすることがとても重要です。 業者への見積もりは3~5社に依頼し、その中から信用できるところにに絞ったうえで選定してください。

信用できるかどうかは、現地調査での立会時の応対や見積書が詳細に書かれているかどうかで判断してください。見積書がきちんとしているとトラブルが起こりにくくなりますので、どのような作業をして、それにいくらかかるのか記載されている業者に依頼してください。

ただし、実際の解体工事では見積書に記載されている以外にも追加費用が発生することもあります。地中障害物・埋蔵物やアスベストの処分など、実際にやってみなければ分からない費用もあるということを頭に入れておきましょう。

できれば見積もり依頼時に、どれくらいの追加費用が発生しそうなのか、その概算金額だけでも確認しておくと慌てずに済みます。ちょっとしたことですが、お金に関する不確定要素はできるだけ解体工事前に取り除くことが大切です。

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