ビルの構造によって費用は異なる
出典:photoAC
ビルの解体費用は建物の構造によって変わってきます。壊しやすいビルほど手間がかからないため費用を安くおさえられますが、頑丈なビルでは専用の機械などが必要になることもあるため、かなり高額な費用が発生します。
まずは、構造にはどのような種類があり、それぞれの特徴を理解してもらった上で費用相場をご紹介していきます。
構造の種類
ビルの種類は大きく分けて下記の3種類に分類できます。
- S造
- RC造
- SRC造
他にもRS造や、WRC造などもありますので特徴を見ていきましょう。
S造
S造は鉄骨造とも呼ばれ、ビルの柱や梁などに鉄骨を使用した構造のことをいいます。家を建てる時は骨格を組みますが、S造はその鉄骨が鉄骨でできています。木造よりも頑丈なため柱の数を減らすことが可能で、さらに耐荷重も大きいため階数を高くすることができます。
S造は鋼材の厚みが6ミリ以上の重量鉄骨造と、6ミリ未満の軽量鉄骨造に分かれます。一般的にビルの場合は重量鉄骨造で作られていて、軽量鉄骨造はアパートや一般住宅などを作るときに採用される構造です。
RC造
RC造は鉄筋コンクリート造とも呼ばれ、鉄筋で補強されたコンクリートで構成されています。S造に使われる鉄骨は熱に弱く、さらに空気に触れると錆びてしまうという問題があります。それを解決したのが鉄筋コンクリート造です。
錆びやすい鉄筋をコンクリートで覆うことで酸化を防ぎ、さらにはコンクリートの引っ張る力不足を鉄筋で補っているのがRC造の特徴です。ビルで使われることの多い構造ですが、揺れにやや不安があるため中低層のビルで採用されています。
SRC造
SRC造は鉄骨鉄筋コンクリートのことで、鉄骨の周りを鉄筋で組み、さらにコンクリートを打ち込む構造になっています。RC造よりも耐震性と耐火性に優れている、という特徴があるため、高層ビルや高層マンションなどで採用されています。
しかし、RC造よりもさらに重たくなるため地盤が緩いところには建てられませんし、よりコストがかかるといわれています。
その他
上記でご紹介した構造の他に、建物の構造としてはW造、RS造、WRC造などがあります。
W造:木造
RS造:1階がRC造、2階がS造のように2種類の構造が合わさった構造
WRC造:柱と梁を使用せずに壁や天井だけで建物を支える構造
いずれもビルの構造にはあまり採用されないので、決まった相場というものがありません。主に住宅建築で使われている構造です。
構造別の費用相場
インターネットなどでビルの構造ごとの費用相場を調べると、費用相場にバラツキがあることが分かります。共通しているのはS造の解体費用が最も安く、SRC造の解体費用が最も高いという点です。
解体費用にバラツキが出る理由としては、同じ構造でも立地条件が違うためです。周辺に何もないビルでしたら解体が簡単ですが、繁華街のようにビルと隣の建物との距離が近い場合は、足場を組むことができません。
このようなケースでは特殊な手法で解体するので、どうしても費用が割高になってしまいます。また、東京や大阪のような都市部よりも、地方のほうが比較的相場が低いようです。
地域ごとだけでなく、ビルの形状も解体費用に影響します。解体相場はあくまでも目安でしかありません。それを踏まえたうえで、実際にどれくらいの費用がかかるのかみていきましょう。
S造
費用相場:2.9万~4.0万円/1坪あたり
S造の強度はそれほど強くありませんが、コンクリートなどの廃材があまり出ません。解体工事の期間も短いため、他の構造と比較すると費用は安価になります。ただし、建物の周囲環境などによっては相場の倍以上の金額を提示されることがあります。
RC造
費用相場:3.2万~5.0万円/1坪あたり
RC造は強度が高いだけでなく、見た目だけでは鉄筋の数などが分かりません。廃材の処分費用も実際に解体しなければ分からない部分ため、S造よりも解体費用が高くなりがちです。
SRC造
費用相場:4.5万~6.0万円/1坪あたり
SRC造はRC造よりもさらに見積もりが難しい構造です。強度がかなり高いため、解体に時間がかかることがあります。SRC造の場合、ビルの規模によって費用が異なりますので、最低でもこれくらいはかかるという目安でお考えください。
ビルの解体以外にも費用がかかる項目
ビルの解体では、解体以外にも費用が発生することがあります。
例えば、古いビルで使われている可能性があるアスベストは、通常の解体費用とは別に除去工事を行わなくてはいけません。
このように、解体工事以外でどのような費用がいくら必要になるのかご紹介します。
アスベスト除去工事
アスベストは石綿とも呼ばれる建設資材のひとつです。
発がん性がありとても危険な建設資材ですが、耐熱性や絶縁性、保温性に優れていることから、ビルや住宅を建てるときは当たり前のように使われていました。
現在ではその危険性から使用が禁止されていますが、1950年代から1970年代までは鉄骨への吹付けが義務付けられていました。そのため、古いビルの多くがアスベストを使用しています。アスベストは飛散しやすく、何も対策をせずに解体すると業者の作業員だけでなく、ビル周辺にいる方への健康を害してしまうかもしれません。
このため、解体工事前に必ずアスベストの使用調査をし、使用されていたときはその危険性レベルに合わせた除去工事を行います。アスベスト除去費用として、国土交通省が公表している実績は下記のようになります。
アスベスト処理面積 | 除去費用 |
---|---|
300㎡以下 | 2.0万~8.5万円/㎡ |
300㎡~1,000㎡ | 1.5万~4.5万円/㎡ |
1,000㎡以上 | 1.0万~3.0万円/㎡ |
アスベスト処理面積はビルの建坪ではなく、アスベストを使用している箇所の面積です。除去工事は手作業で行いますので、処理面積が少ないほど細かな作業が必要になり、単価は高くなる傾向にあります。
古いビルでは、アスベストが使用されていることがありますので、解体時には忘れずに除去しましょう。自治体から補助金が出るケースもありますので、解体工事が決まったら一度確認することをおすすめします。
廃棄物処理費
ビルの解体を行うと、コンクリートや鉄筋などの廃棄物が発生します。業者によっては廃棄物の処分費用を解体費用に含めているケースもありますが、解体費用とは別に見積もりされるケースもあります。
廃棄物処理費用の目安は下記のようになります。
種類 | 費用目安 |
---|---|
コンクリートガラ | 1,400~60,000円/トン |
金属くず | 3,500~30,000円/トン |
木くず | 2,000~40,000円/トン |
ガラス | 2,000~45,000円/トン |
アスファルト | 1,000~10,000円/トン |
建物内に残置物がある場合は、それらも含めて廃棄物処理費として請求されます。解体業者に依頼すると割高になりますので、残置物はできるだけ解体前に粗大ごみとして自治体に回収してもらいましょう。
地中埋設物
解体工事で追加費用として請求されることが多いのが、地中埋設物の除去費用です。ビルや住宅を更地にする際は、土の中も含めてなにもない状態にしなくてはいけません。このためビルを解体した後で、地中埋設物が見つかったときは追加費用が発生します。
現地調査ではビルの下に何が埋まっているか調べることができません。また、埋まっているものによって除去費用も変わってきます。もちろん何も出てこないケースもありますが、解体業者から「埋設物が見つかりました」と言われたら、追加費用が発生することになりますので、解体費用は余裕を持って用意しておきましょう。
気をつけたいのは、業者で勝手に除去させないということです。きちんと報告をしてもらうのはもちろんのこと、除去にかかる費用の見積もりを出してもらったうえで、地中埋設物を取り除いてもらうようにしましょう。
取り除いてから「追加で◯◯万円かかります」と言われたのでは、本当に埋まっていたのかも分かりません。
気持ちよく解体工事を終わらせるためにも、地中埋設物がみつかった時の段取りをあらかじめ解体業者と話をしておきましょう。
ビルの解体費用を安くおさえるコツ
ビルの多くは解体しにくい立地に建っているため、どうしても相場よりも解体費用が高くなりがちです。それでも、解体費用をできるだけ安くおさめたい方も多いと思いますので、ここではそのコツをご紹介します。
ビルの図面を用意する
RC造やSRC造は、見た目だけではその構造が分かりづらいため、高めに見積もりを出されることがあります。ただし、ビルの図面がある場合は、鉄筋の本数など、目に見えない部分の構造が書かれていますので、見積もりの精度を高めてくれるだけでなく、結果的に見積金額が下げることにつながります。
現地調査をきちんとしてもらうことも重要ですが、事前に図面も用意して提出しておくことで、解体費用を安く抑えることができます。
繁忙期を避けて依頼する
ビルの解体を行う建設業は年末から年度末にかけて、多くの案件が入るため解体工事を依頼しても断られることがあります。見積もりを出してもらっても、通常よりも割高な金額を提示されることがあるため、繁忙期の解体工事は避けましょう。
どうしても年度末に向けて解体しないといけない、ということであれば仕方ありませんが、日にちに余裕があるのであれば、年度が明けてからの工事をするほうがビルの解体費用が安く済みます。
複数社に依頼して相見積もりにする
解体工事に相場はあっても定価はありません。このため同じ工事でも業者によって解体費用が違ってきます。1社にしか依頼しないと、安価で良い業者に当たるのかは運次第ということになってしまいます。リスクを減らすためにも、解体工事の見積もりは複数の業者に依頼しましょう。
また、複数社に依頼することで業者同士が価格競争をしてくれることがあります。自社で工事を請けたい場合は、通常よりも値引きした金額を提示してくれることがあるので、工事費が気になる方は3~5社に見積依頼をするのがおすすめです。
金額だけで業者を選ばない
相見積もりにすることも重要ですが、業者は金額だけで決めてはいけません。業者によっては、最初の見積金額を低くして「追加工事が発生した」といい、後から追加で費用を請求してくることもあります。その結果、他社よりも高くなるということもあります。
解体費用を安くおさえたいのであれば、信頼できる業者であるかどうかを優先してください。この業者になら任せられると感じたところの中から、見積金額の低く工事内容が詳細な業者に解体工事を依頼しましょう。
まとめ
ビルの解体工事は多額の費用が発生するため、なかなか解体に踏み切れないという方もいらっしゃると思います。それ以前に、どれくらいの費用が必要になるか分からないと、不安だけが先行して解体できないですよね。
ビルの解体は〇〇円です。と断定することはできませんが、どれくらいの費用になるのか概算だけでも見えてきたのではないでしょうか。ビルの解体費用は信頼できる業者にしっかりと現地調査をしてもらい、見積をしてもらった上で初めて明確になります。
他にも、アスベストや地中埋設物など、解体費用以外にかかる費用もあります。ここで算出した金額を参考にして費用には余裕を持って解体工事を進めていきましょう。
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