マンションの解体はなぜ行うのか
出典:photoAC
マンションの解体工事を行うのは、解体後に新しいマンションに建て替える、もしくはオーナーが更地にして土地を売却するなどが挙げられます
建て替えは、居住者が安心して住むことができるよう、安全性や快適性を維持するために行われることがほとんどです。
具体的には、以下の3つのような理由が考えられます。
・耐震性不足のため
・外壁(コンクリート)や設備など建物の老朽化のため
・エレベーターを付けるなど居住者の利便性を向上させるため
従って、現在マンションにお住まいの方は、ご自身のところもいずれは解体工事が行われることを、頭に入れておかなければなりません。
マンションの寿命は30年
マンションやビルのようにRC造、SRC造といった耐久性が比較的高い建物でも、いずれは寿命がきます。
平成20年に国土交通省がマンション管理組合などを対象に、老朽化マンション等の建て替えに関する実態アンケート調査を行いました。
区分所有者の建替えに対する意識という質問に対して、「建て替えが必要」と回答しているのが、築35年未満で2.6%、築35年~39年で8.0%、築40年以上で15.2%と築年数が古くなるほど、居住者も何らかの不安を感じていることがうかがえます。
引用元: 国土交通省 分譲マンションの建替え等の検討状況に関するアンケート調査結果について
一般的にマンションの寿命は30~40年といわれていますが、国土交通省ではRC造、SRC造は耐用年数を47年と定めています。その年数はあくまで目安であり、耐震基準を満たしておらず、メンテナンスも行っていなければ、30年も経たずに建て替えることになったケースもあります。
新耐震基準とは?
日本では、1970年代頃からマンションの普及が始まりました。
それから「新耐震設計基準」が施行されたのは1981年6月です。つまり、1981年以降に建築されたマンションであれば、新耐震基準をクリアしていることになります。
新耐震基準とは、震度6強から7の大規模地震の際、建物に何らかの被害は出るが、倒壊や崩壊はしないため人命に関わる損傷は生じないとされています。
一方、1981年以前に建築されたマンションは、「旧耐震基準」です。
震度5強の中規模の地震に対しては、建物に被害が及ばないとされていますが、大規模地震が起きた際は、安全性が保障できないといわれています。
また、1970年代に建築されたマンションは、修繕計画が作成されていないことが多く、居住者から積立金を集めていないケースがあります。1戸当たりの修繕時の負担額が大きくなるだけでなく、修繕費が高額だと居住者の合意が得られにくいため、修繕がされないまま10年、20年と経過しているマンションもあるようです。
従って、築30年以上のマンションは耐震性の不足に加えて、共有部分の経年劣化が懸念されます。
建て替えできないマンションもある
ここまで、マンションを解体する目的や寿命について触れてきましたが、寿命だからといって全てのマンションが建て替えられるわけではありません。
東京都で建て替えが実施された物件を例に挙げると、建て替えが実施されたマンションの築年数は平均して40年です。マンションの建て替えには、建て替え後の需要の有無や建物の規模などの観点から、いくつかの条件が伴うことがあります。
初期のマンションは、容積率に余裕を持たせて建てられていたため、建て替えにより容積率を増やすことができました。特にタワーマンションは、容積率もぎりぎりで収容能力は限界に近いところが多いようです。
その敷地に価値がある、再開発が行われるときはは、建て替えるかもしれませんが、そのようなことがない限り、タワーマンションを新たに建て替えることはほぼ無いに等しいでしょう。
長く住めるマンションとは?
近年、永住できるマンションを選ぶ方が徐々に増えてきています。年齢層が高くなるにつれ、特にその傾向は高くなっているようです。
マンションも戸建て住宅同様に、長く住み続けられることが重要な条件となってきています。
建築時に使用される材料や施工技術の進歩により、住宅の平均寿命は延びています。2000年頃からは、「100年コンクリート」を用いたマンションも建築されるようになりました。
マンションはコンクリートだけでなく、耐久性の異なる様々な部材が使用されています。そのため、定期的にメンテナンスを行わなければ、長く住み続けることはできません。
耐久性を維持するためには、長期修繕計画に基づいた「大規模修繕」を計画通りに実施していることも重要です。日頃からメンテナンスや維持管理を行っているマンションが、長く住めるマンションだといえるのです。
※100年コンクリート:日本建築学会によって、大規模な修繕工事をしなくても約100年は持つ、といわれているる高強度のコンクリートのこと
マンションの解体費用はいくら?
マンションの解体費用は、その構造はもちろんのこと、都道府県、立地条件によって大きく異なります。 他にも床面積や高さも関係しますが、使用されている建材にアスベストが含まれていると、必ず除去しなくてはいけないため別途費用がかかります。
マンションの構造は主に、R造、RC造、SRC造の3つに分かれますので、それぞれの特徴と解体費用の目安をご紹介します。
R造(鉄骨)
・解体費用目安:2.5~4万円/坪
鉄骨造は、柱や梁などの骨組みに鉄骨が使用されています。鉄骨造は重量鉄骨(鋼材の厚みが6mm以上)と軽量鉄骨(鋼材の厚みが6mm未満)の2種類に分かれます。
マンションやビルの場合は、重量鉄骨が用いられます。
一方、軽量鉄骨は一般住宅や小規模の飲食店などで用いられることが多いようです。
RC造(鉄筋コンクリート)
・解体費用目安:4~8万円/坪
RC造は、多くのマンションやビルで用いられる構造体です。 柱、梁、床、壁が鉄筋とコンクリートで構成されており、鉄筋を組んだ型枠にコンクリートを流し込み固めるため、十分な強度を保つことができます。
以前は、タワーマンションはSRC造が主流でしたが、最近は技術の進歩により、高層マンションでもRC造を採用するところが増えています。
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)
・解体費用目安:5~8万円/坪
SRC造は、鉄骨の柱の周りに鉄筋を組み、そこにコンクリートを打ち込んで施工します。大型マンションをはじめ、ビルなどの大規模な物件で多く採用されています。
SRC造は、鉄骨造やRC造よりも耐震性、耐火性、耐震性能に優れていますが、工程が複雑で解体の期間も長期化します。そのため、建築費や解体費は構造物の中で最も高額になります。
マンションの解体費用は誰が出すの?
冒頭でも触れましたが、主にマンションの解体は以下のようなケースです。
・解体後、敷地を売却する
・解体後、新しいマンションに建て替える
仮にマンションの解体が決まったら、その費用をだれが負担するのか気になりますよね。 解体には高額な費用がかかります。マンションの所有者や居住者の方は、誰が負担にするのかしっかりと把握しておきましょう。
費用の負担者は、お住まいのマンションが分譲、あるいは賃貸のどちらに該当するかで異なります。
解体後、敷地を売却する
分譲マンションが老朽化などの理由により解体され、敷地を売却するときは、建物の解体費用は居住者(区分所有者)が負担することになります。
以前は、マンションの敷地を売却する場合は、区分所有者全員の賛成が必要でした。しかし、2014年に「マンション建て替え円滑化法」が改正され、耐震性不足と認定されたマンションは、区分所有者の4/5以上の賛成があれば、解体及び跡地売却を行うことができます。
一方、賃貸マンションでは、基本的にマンションのオーナーが負担します。
解体後、新しいマンションに建て替える
分譲マンションでは、建て替えの費用を居住者が負担しますが、建て替え費用は高額になるため、大規模修繕費の一部を解体費用に充てているところもあるようです。
賃貸マンションは、居住者が費用を支払う必要はありません。
解体工事の計画を進めていく中で、「デベロッパー」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。 デベロッパーとは開発者を意味し、土地や街を開発する事業を手掛ける不動産会社のことを指します。
先述した「マンション建て替え円滑化法」が改正されたことにより、建て替えが進まなかったマンションも、住民の合意が得やすくなりました。売却時には所有者が組合をつくり、デベロッパーに土地と建物をまとめて売り渡すことができるようになったのです。
解体工事や建設工事を行うのは、「ゼネコン」と言われる総合建設会社ですが、大手のゼネコンは、「デベロッパー」と共に開発事業を行うことが多いといわれています。
解体以外の費用も考えておくことが大切
2017年に行われた国土交通省の調査によると、日本のマンションは644万戸あり、そのうち建て替えが必要と言われる、築40年以上の物件は72万戸となっています。
現在お住まいのマンションも、いずれは解体することになります。その際、解体以外にかかる費用も計画的に貯蓄しておかなくてはいけません。
マンションを解体した後は、建て替えられたマンションに住む方、別のマンションに移る方などそれぞれでしょう。 いずれの場合でも購入費や賃貸料を手元に残しておくと安心です。
まとめ
現在マンションにお住まいで、そこが定期的に大規模修繕をしているのであれば、耐久性は維持できていると思っている方もいらっしゃるかもしれません。
「旧耐震基準」に基づいて建築されているマンションは、大規模な地震に耐えれるだけの耐震性が備わっていません。さらに、耐久性も時間の経過とともに徐々に低下していきます。
この先、ご自身のマンションでも管理組合からマンションを解体することになった、といわれる可能性があります。
いずれ行うことになるマンションの解体に備えて、解体費用の他にも新しい住居に住むための費用を計画的に貯蓄しておきましょう。
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