ウォーターハンマー現象とは?
出典:photo-ac.com
ウォーターハンマーは水道配管などで、急激な圧力変動が発生したときに起こる 現象です。 金属管をハンマーで叩いたときのような音が鳴るため、ウォーターハンマーと呼ばれています。この現象が起きる理由は2つあります。
水道管に水が流れているのを想像してください。そこに急に壁で塞がれたらどうなるでしょう?流れている水は急に止まれませんので、壁に向かってどんどん水が押し寄せてきます。 そうすると壁付近の圧力が高まっていき、水道管が震えてしまいます。その震えが水道管の固有振動数と一致すると、共振して衝撃音を発生させます。
一方で、壁の先では水がどんどん流れていこうとします。ところが後からくる水が止められていますので、その空間の圧力が下がり真空状態になります。真空状態になると今度はそこに水が向かってきて勢い良く壁にぶつかるため、ここでも衝撃音や振動が発生します。
ウォーターハンマーを放置するとどうなるのか?
ウォーターハンマーはガス給湯器や食洗機などを使っていると、どうしても避けられない現象なのですが、通常はとても小さく抑えられているので、そもそもウォーターハンマーが発生していることにも気づかないケースがほとんどです。
ところが、水の流速がとても速いような場合にはウォーターハンマーは機器を壊してしまうくらいに強力なものになります。その圧力は10MPaにもなると言われ、ガス給湯器の弁を壊してしまうこともありますし、継手を破壊することもあります。
1回の衝撃には耐えられても、それを何度も繰り返していると、いずれガス給湯器や配管が耐えきれなくなって壊れてしまうこともあります。ほとんどのケースで機器の寿命を大幅に短くするのだと覚えておきましょう。
ウォーターハンマーの原因
水道管を流れている水をいきなりせき止めると、ウォーターハンマーが発生すると説明しましたが、そんなことが本当に起きるの?そう思う人もいるかもしれません。水道の蛇口をすぐに止めてもウォーターハンマーなんて起きないよと言う人もいるかもしれません。
実は水道の蛇口でもウォーターハンマーは発生します。ただし、ものすごく速く蛇口をひねらなくてはいけません。瞬間的に水を止めなければ、簡単にはウォーターハンマーは発生しません。ところがガス給湯器や食洗機には電磁弁と呼ばれる、一瞬で弁を閉じられる機械が入っています。ガス給湯器を操作して水を止めようとすると、この弁が作動して瞬時に水を止めるわけです。
安定して流れていた水が、電磁弁で瞬時に止められることで、先ほど説明したような高圧状態、低圧状態が生まれ、ウォーターハンマーが発生します。
もちろんメーカーもウォーターハンマーについては理解しているため、急激に弁を閉じないような機構を設けていることもあります。それでも機械がひとつ増えると故障の確率が上がってしまいますので、そのような機構を採用していない商品が主流となっています。
ウォーターハンマーの対策
ウォーターハンマーの原因がわかれば対策も簡単です。
- 水道管を流れる水のスピードを落とす
- ウォーターハンマーの衝撃を吸収する
ウォーターハンマー対策はこのいずれかを行います。そのために何をすればいいのか、もう少し詳しく見ていきましょう。
水道の元栓を絞る
手っ取り早い対策としては、水道メーターの近くにある元栓を絞ることです。元栓を絞ると水道水のスピードが遅くなります。そうすると電磁弁が作動したときも圧力がそれほど高まることなく水の供給が止まります。
ただし、絞りすぎるとシャワーなどの圧が下がってしまうこともあります。場合によっては、給湯器の安全装置が働いて着火できないということもありますので気をつけてください。
水撃防止器をつける
水道の元栓を絞りたくないときは、水撃防止器を利用しましょう。水撃防止器にもいろいろな種類がありますが、ガス給湯器でウォーターハンマーが発生している場合には、給湯器の前後にインラインタイプの水撃防止器を取り付けましょう。
自分で判断が難しい場合には、ガス給湯器を設置してくれた業者に、ウォーターハンマーが発生しているので水撃防止器を取り付けてほしいと依頼しましょう。
まとめ
ガス給湯器で異音が発生したとき、なんでもないと思って放置していると、大きなトラブルに繋がる可能性があります。ウォーターハンマーは放置して直るものではなく、放置すれば放置するほど後々の被害が大きくなります。場合によってはガス給湯器や周辺の配管を壊してしまう可能性もあります。
そうなってから慌てるのではなく、異音が気になったらウォーターハンマー対策を行ってください。元栓を絞ったり、水撃防止器を設置したりすることでウォーターハンマーは改善されます。自分で作業するのが難しい場合は、できるだけ早くに専門業者に依頼して、問題を解消させましょう。
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