2018年9月28日

布の壁紙にするときの基礎知識 張り替えたときの費用相場

室内の壁紙と言えばビニールクロスが定番ですが、ビニールクロスでは安っぽい感じに仕上がってしまうため、最近では布壁紙を使っている方も多くいらっしゃいます。布壁紙を使った部屋はナチュラルな感じに仕上がり、とても居心地がいいと評価も高いため、ここでは布の壁紙の基礎知識だけでなく、張り替えにかかる費用相場についてもご紹介します。

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布壁紙って何?

布 壁

あまり壁紙の種類について考えたことのない人は、「壁紙=ビニールクロス」というイメージを持っているかもしれませんが、壁紙は他にも紙や木質系、そして布などが使われています。壁に貼れるものは何でも壁紙になりますので、最近は珪藻土や漆喰の壁紙などもあります。

その中で布壁紙は一般的な織物をベースに、紙を裏打ちしたものになります。布をそのまま壁に貼り付けるのではなく、布に紙を貼って、その紙を壁に貼り付けます。布壁紙の他に、織物壁紙、布クロス、織物クロスと呼ばれることもあります。

この布壁紙は、ビニールクロスとは性質がまったく違いますので、選ぶときにはその特徴をしっかりと把握しておく必要があります。どのような点を知っておかなくてはいけないのか、そのポイントをこれからご紹介していきます。

壁紙を布にするメリットとデメリット

ビニールクロスは安価で種類も多いのに、なぜあえて壁紙を布にする方がいるのでしょうか?壁紙を布にすることでどのようなメリットがあり、どのようなデメリットがあるのでしょう。

ここでは壁紙を布にするメリットとデメリットをご紹介します。

メリット

  • シンプルで高級感がある
  • 調湿性がある
  • 簡単には破れない
  • シックハウス症候群などの危険性がない

布壁紙の代表的なメリットはこの4点です。

ビニールクロスも凹凸はありますが、布の場合は機械的に付けた凹凸ではなく、織ることでナチュラルかつ整っています。見た目が美しく仕上がるだけでなく、シンプルで主張しすぎないのも居心地の良さにつながっています。

また、自然素材を使っている場合は室内の調質を行ってくれます。湿気の多いときには水分を吸い、乾燥しているときには水分を出してくれますので、常に心地良い環境を提供してくれます。さらに、冬場でも結露しにくいというメリットもあります。

ビニールクロスのように簡単に破けないのも布壁紙のメリットのひとつです。さらには自然素材を使った布壁紙であれば、シックハウス症候群などの危険性もないため、小さなお子さんのいる家庭に最適です。

デメリット

  • ビニールクロスよりも高い
  • デザインの選択肢が少ない
  • 防火性のあるものが少ない
  • 汚れが付きやすく落としにくい

デメリットは上記の4点です。

布壁紙は壁紙の価格もビニールクロスよりも高くなるだけでなく、施工も難しいため工賃も高くなります。このためトータルコストが高くなるだけでなく、予算に余裕のない方にとっては大きなデメリットといえるのではないでしょうか。

また、ビニールクロスのように選びきれないほどの種類があるわけではなく、デザインの選択肢が少ないのも布壁紙のデメリットです。さらに、キッチンなどに使う防火性のあるものとなると、その種類はかなり限られてしまいます。

布ですので汚れが染み込みやすいだけでなく、水に弱いため水洗いできないので汚れを落としにくいのですが、経年劣化を楽しむのが布壁紙の特徴でもありますので、汚れも含めて楽しめる人に適しています。

布壁紙の種類

布壁紙はデザインの選択肢が少ないとはいっても、分類としては多くの種類があります。自分で選ぶときに悩まないように、種類について知っておきましょう。まずは素材による分類です。

  • 木綿
  • パルプ
  • レーヨン
  • シルク
  • サテン

代表的な素材だけでもこれだけあります。それぞれ単体で使われることもありますが、用途に合わせて組み合わせることもできます。一般的なものはレーヨンを使った布壁紙で、自然素材の雰囲気が好きな方は木綿や麻を使い、高級感を出したい場合にはシルクやサテンのものを使用されています。

また、織り方や加工の違いによって次のように分類されます。

  • 平織壁紙
  • 綾織壁紙
  • 朱子織壁紙
  • 不織布壁紙
  • 植毛壁紙

スタンダードな織り方は平織壁紙で、縦の糸と横の糸を交差させながら織っていきます。伸縮性があり貼り付けしやすいのが綾織壁紙、サテンのように縦の糸が多く表面に出てくる織り方をするのが朱子織壁紙です。

不織布は一般的にフリースと呼ばれるものです。カーペットのように静電気で繊維を植毛し、デザインに合わせてカットしたものが植毛壁紙と呼ばれています。それぞれに見た目も肌触りも違いますので、どれがご自身の部屋に合うのかイメージして、最適なものを選ぶようにしましょう。

他の壁紙との違い

ここまでは布壁紙についてご紹介してきましたが、比較のために他の壁紙についてもご紹介します。布壁紙との違いを意識しながら見ていきましょう。

ビニールクロス

ビニールクロスはビニールシートに紙などを裏打ちした壁紙で、表面に凹凸加工したものが集合住宅などでよく使われています。価格がとても安価であることから、最も普及している壁紙といわれています。

  • 施工性がいい
  • お手入れが簡単
  • コストも安い
  • 水拭き可能でお手入れをしやすい
  • デザインが豊富

特にこだわりがないのであれば、ビニールクロスがおすすめです。ただし、調湿性などの効果はありませんし、以前ほどではありませんがシックハウス症候群のリスクもあります。このため、予算をできるだけ抑えたい人に適した壁紙になります。

紙壁紙

名前の通り、紙を使った壁紙です。紙ですのでプリントして作ることが出来るため、自分のお気に入りの写真を壁紙にすることも可能です。和紙や洋紙の違いで雰囲気を変えることもできますし、型押しして高級感を出しているものもあります。

自由度が非常に高いのが紙壁紙の大きな特徴といえます。ただし、紙ですので水に弱いというデメリットがあります。水拭きがNGですので、汚れがつくと取り除くことがかなり難しくなります。紙壁紙はコストを抑えながら個性を出したい方におすすめです。

布の壁紙に張替えるといくらかかる?

布 壁

ビニールクロスでの張替えの場合、相場は1,000円/㎡くらいですが、布壁紙の場合はどれくらいかかるのでしょうか?

レーヨン素材の布壁紙:1,500円/㎡
不織布の布壁紙:2,500円/㎡
シルクの布壁紙:10,000円/㎡

スタンダードなレーヨンの平織壁紙であれば、高機能なビニールクロスと同じくらいの価格ですが、シルクのような高級な壁紙を使う場合には、安価なビニールクロスの10倍近い価格になります。ちなみに、既存の壁紙の撤去費と処分費、施工費などすべて含めての金額になります。

施工面積が広くなるほど高額になってしまいますので、部屋の1面だけ布壁紙にするなど、予算に合わせて最適な布壁紙と張替え方法を選ぶようにしましょう。

まとめ

ビニールクロスと比べるとどうしても割高になってしまう布壁紙。それでも自然素材を使うことで温かみのある空間を作ることができますし、調湿性がありますので布壁紙を使えば部屋の居心地の良さが上がります。このため、予算に余裕があるならぜひ選んでもらいたい壁紙のひとつです。

ただし、施工が難しいということもあり、どのリフォーム会社でも上手く仕上げられるわけではありません。複数の業者に相談して、経験豊富で実績のある職人さんのいるリフォーム会社に施工をお願いしましょう。

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監修者:

渡邊 一伸(ナベさん)

大工歴35年。大手ハウスメーカーで2年間現場監督に従事。3000棟以上のリフォーム・住宅修理の工事管理の実績をもつ。阪神淡路大震災においては1年間復興財団に奔走。その後、独立し、会社を10年経営。2016年に1月に株式会社ローカルワークスに入社。