モルタル外壁とは
モルタル外壁は、セメント、砂、そして水を混ぜ合わせて作られるモルタルを材料にした外壁です。
モルタルは、耐火性・防火性に優れているので、火事が起こりやすい日本の木造建築と相性が良いとされています。 1950年に建築物の耐火基準が定められると、外壁材として普及しました。 1990年頃まで、住宅の壁材はモルタルが主流でした。
近年、施工費用が安く、工期の短いサイディング外壁が主流になっていますが、モルタルにも多くの長所があります。
モルタル外壁のメリット
デザインの自由度が高い
モルタル外壁は、継ぎ目がないので、見た目が美しく、複雑な形状の建物でも施工できるのが特長です。 施工方法や混ぜる砂・繊維などを組み合わせて、何通りもの仕上げパターンを作れるので、外壁を比較的自由にデザインできます。 とくに、職人がコテを使って塗ったモルタルは「左官仕上げ」と呼ばれ、仕上がりパターンのバリエーションが豊富です。
遮熱性が高い
金属などを用いた外壁は、太陽光によって壁材の温度が上がり、室内温度の上昇にもつながります。
一方、モルタル外壁では、金属と比較して温度の上昇がゆるやかです。 遮熱効果のある塗料を塗ることでさらに遮熱性が高まり、夏場の省エネにも役立ちます。
耐久性・耐火性が高い
材料であるセメント、砂、水がすべて不燃性なので、モルタルは不燃材料※として認められています。 人体に悪影響を及ぼす有毒ガスや成分の発生もありません。また、台風などで飛散物が当たっても壊れにくい頑強さも特徴です。
※不燃材料
「(前略)不燃性能(通常の火災時における火熱により燃焼しないことその他の政令で定める性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。」と、建築基準法第二条二で定義されている建築材料です。加熱しても20分間は燃焼しないという条件をクリアしたら認定され、建築材料の中では最上位の防火性能を認められています。
モルタル外壁のデメリット
職人によってクオリティの差がでやすい
モルタル外壁は、良くも悪くも職人の腕次第なので、仕上がりのクオリティに差がでやすいです。 左官仕上げ、ローラー仕上げには熟練した職人の技術と経験が必要です。
近年は、モルタル外壁の施工数が減っているので、経験を持った左官が少なくなっています。
ひび割れしやすい
モルタルは水分に強くないので、何度も乾燥と湿潤を繰り返していると、ひび割れ(クラック)が起きやすいです。 また、モルタルの外壁には、建物の揺れに生じるエネルギーを逃がしてくれる継ぎ目がないので、地震が起こるとひび割れしやすいという欠点があります。
ひび割れを放置すると、雨水が建物内部に入り込んで構造自体を浸食するので、早急な対処が必要です。
モルタル外壁のメンテナンス目安
モルタル外壁のメンテナンスは10年が目安
モルタル外壁の耐用年数は、20年~40年ぐらいと言われています。 ただし、この数字は外壁塗装のメンテナンスを定期的に行った場合のものです。 メンテナンスを行わないと、雨風や紫外線で表面が劣化して、寿命が縮んでしまうおそれがあります。
塗料の種類にもよりますが、外壁塗装の寿命は8年~15年程なので、10年に1回な塗り替えメンテナンスを行う必要があります。
モルタルの劣化症状
モルタルの塗装が劣化してくると生じるさまざまな症状は、メンテナンスの目安になります。
ひび割れ(クラック)
ひび割れにも大きさによって種類があり、必要なメンテナンスが変わってきます。
ヘアークラック
幅0.3mm以下、深さ4mm以下のクラック。小さいので建物に雨水が浸入することは少なく、メンテナンスの緊急性は低いです。
構造クラック
幅0.3mm以上、深さ4mm以上のクラック。放置すると、雨水が浸入して、内部構造を浸食することがあるので、コーキングでの補修が必要になります。
チョーキング
触れると、手にチョークのような白い粉が付着する現象をチョーキングといいます。 紫外線と風雨にさらされ続けると、塗膜の表面が劣化して、粉状になります。 チョーキングは、お家が塗装によるメンテナンス時期を迎えたというサインです。
雨だれ
ほこりや大気の汚れ含まれた雨が壁をつたって筋状に汚れとして跡が付いてしまった状態のことを指します。 汚れがついたばかりなら、ブラシと中性洗剤を使って除去できます。
しかし、放置すると掃除だけでは除去できなくなるので、高圧洗浄や壁の塗り替えが必要になります。
コケ・藻
湿気がたまりやすいところでは、コケ・藻が発生します。 見た目に大きな影響をあたえるのはもちろん、モルタル外壁の素地そのものをもろくさせることがあるので、きれいに除去する必要があります。
色が薄い初期のコケ・藻なら、ブラシと中性洗剤で落とせますが、頑固なものは高圧洗浄機と業務用洗剤で対処するしかありません。 無理に高圧洗浄機を使うと、状態によっては外壁を傷つけてしまうことがあるので、壁の状態を知り尽くしたプロにお願いするのが得策です。
浮き・剥がれ
長年、モルタル外壁が熱伸縮を繰り返すことで、外壁仕上げ材の付着力が低下して剥がれている状態です。 症状が現れた場所から雨や虫が入り込み、外壁や住宅の基礎がもろくなり、建物自体が壊れてしまうことがあります。
これまで紹介した中で最も深刻な劣化症状なので、見つけた場合はすぐにメンテナンスを行うことをおすすめします。
モルタル外壁のメンテナンス方法と費用相場
モルタル外壁のメンテナンスは、部分補修、外壁塗装の2種類の方法があります。
部分補修
劣化症状がひび割れ、汚れだけというに行われるのが、部分補修です。 ひび割れにはコーキング材を打ち込み、汚れには高圧洗浄を行います。
モルタル外壁の部分補修
ひび割れ補修費用
10,000〜200,000円/1か所
高圧洗浄費用
100~300円/㎡
外壁塗装
壁全体のチョーキング、高圧洗浄でも落ちないような汚れ、外壁仕上げ材の浮きや剥がれがある場合には、外壁塗装(塗り替え)でメンテナンスします。
モルタル外壁の外壁塗装
足場費用
10,000〜200,000円/1か所
高圧洗浄費用
100~300円/㎡
塗装費用(塗料によって変わる)
1000~6000円/㎡
付帯塗装費用
100,000~300,000円
廃棄費用など
50,000~200,000円
一般的な30坪の家(足場面積※:約190㎡、塗装面積※:約120㎡)の外壁をシリコン塗料で塗装する場合、総額で約60万~120万円かかります。
※足場面積は、(建物外周の長さ+4m)×(建物の高さ+0.5m)で計算できます。30坪の家は185~199㎡ぐらいです。
※塗装面積は、延べ床面積×1.2で計算できます。30坪の家は約120㎡(延べ床面積=3.3㎡×30)ぐらいです。
▼参考記事▼
外壁リフォームの費用相場と必要な工事を解説
モルタルとサイディングの違い
サイディングは、住宅に使われる外壁材の一種です。壁にカットしたサイディングボードを貼り付けて作ります。 施工のしやすさと費用の安さ、工期の短さから、90年代以降はモルタルに代わって主流の外壁材※になっています。
サイディングには、「窯業系サイディング」、「金属系サイディング」、「木材系サイディング」、「樹脂系サイディング」と大きく4つの種類があり、それぞれ耐用年数に大きな違いがあります。
サイディングとモルタルの比較
種類
サイディング
モルタル
費用
2,000〜5,000円/㎡
5,000〜7,000円/㎡
工期
1~2週間
2~4週間
継ぎ目
あり
なし
デザイン
自由度低
自由度高
耐用年
20〜40年
20年~40年
塗替え
約10年ごと
約10年ごと
※2021年の調査では、一般の戸建住宅で使われる外壁材のうち、サイディングが約9割(89.1%)を占める。一方、モルタルは7.6%。
出典元:日本サッシ協会:2022年3月版『住宅用建材使用状況調査』の概要
モルタル外壁の施工事例
事例その1
松戸市×外壁塗装(モルタル壁)×お客様第一の作業
- BEFORE
- AFTER
事例その2
栃木市 モルタル外壁塗装 目地コーキング
- BEFORE
- AFTER
事例その3
屋根、外壁塗装をして新築のように生まれ変わりました
- BEFORE
- AFTER
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まずは相談から
外壁に関するお役立ちコラム
Q.モルタル外壁の仕上げ方について教えてください。
モルタル外壁の仕上げ方は、仕上げ材の種類や工法で、4種類に分類できます。
リシン吹き
小さい石、着色料、アクリル樹脂、セメントを混ぜたものを、モルタルの外壁にリシンガンで吹き付けて仕上げる表面化粧材をリシンといいます。 表面が細かい凹凸で砂模様のような仕上がりになるのが特徴です。
モルタル下地仕上げ材の中では比較的安く、作業効率がいいので、1960年代~1980年代頃のモルタル外壁に多用されました。 砂壁風の見た目は安定感があり、人気です。 一方で、凹凸がある表面に汚れがたまりやすく、ひび割れやすいという欠点もあります。
スタッコ
水、合成樹脂、石灰、セメント、砂を混ぜたものを、モルタルの外壁にスタッコガンで吹きつけたり、ローラーで仕上げる表面化粧材をスタッコといいます。 表面の凹凸がリシンより大きく、厚く塗っている(5~10mm)のが特徴です。
厚く塗っているので、リシンに比べて立体感、重厚感を演出できます。
吹き付けタイル
モルタルの外壁に、樹脂、寒水石、けい石、骨材などを混ぜ合わせたタイル材をタイルガンで吹き付けて仕上げたものを吹き付けタイルといいます。 下塗り、主剤、上塗りの3層にわたって吹き付けるので、正式名称「複層仕上げ塗材」とも呼ばれます。 陶磁器のような光沢感のある仕上がりになるのが特徴です。
吹き付けた後に、ローラーで凸部を抑えて凹凸をつぶす「凸部処理仕上げ」と、何も手を加えない「吹き放し仕上げ」の2種類の仕上げ方を選ぶことができます。 凸部処理仕上げにすると、汚れがたまりづらいので、掃除がしやすいモルタル外壁をお望みの方にはおすすめです。
左官仕上げ
職人がコテを使って仕上げる施工方法を左官仕上げといいます。 唯一無二の壁をつくることができる「意匠性」の高さが特徴です。
デザインの自由度が高いだけでなく、壁材に天然石などをあえて混ぜたりして、オリジナリティを出すこともできます。 一方で、仕上がりが、職人の技量に左右されやすく、コストも高くなりがちなのが難点です。
最近では、モルタル外壁の上に塗りつけて使用するアイカ工業「ジョリパット」やエスケー化研の「ベルアート」などの新しい仕上げ材が販売されています。