2017年11月3日

店舗・オフィスの原状回復

店舗・オフィスの原状回復についてご紹介しています。物件を退居する際に行う原状回復の範囲はどこまでで、細かな責任の所在はどこにあるのでしょうか。通常物件と店舗・オフィスにおける原状回復の違いや、ドラブルを防ぐ方法などを解説しますので、ぜひご参考にしてください。

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原状回復とは

原状回復とは、賃貸契約を交わした建物を退居する際に、建物の消耗や毀損部分を修繕することです。

国土交通省のガイドラインによると賃貸物件での原状回復とは、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されています。

住宅の場合、長く住めば住むほど自然に劣化が進むのは当然なので、長く住むほど原状回復すべき範囲は狭くなるという考え方が一般的です。
しかし居住年数が短いにも関わらず損耗が著しい場合は、消耗や経年劣化よりも通常使用を超える使い方をしているケースが多く、借主の負担となることがあります。

住宅で見る具体的な「通常使用・経年劣化」と「通常使用を超える損耗・毀損」の一例は以下の通りです。

通常使用・経年劣化
・ポスターなどの掲示物を貼る際に使用した画鋲の穴
・重量のある家具設置による床のへこみ
・家電製品設置による電気焼け
・日照による床やクロスの変色

通常使用を超える損耗・毀損
・下地ボードの交換が必要な釘打ちの穴
・掃除を怠ったことにより発生したカビ汚れや腐食
・落書き
・喫煙による変色や臭いの染みつき

一般住宅の原状回復と店舗やオフィスの原状回復では、負担の範囲や考え方が若干異なります。それぞれの違いを確認しましょう。

一般住宅での原状回復

原状回復とは「借りた際の状態に戻す」という考え方ですが、どの程度の範囲で行うべきなのかというところが重要となります。 上記の通り、国土交通省のガイドラインでは「通常使用や経年劣化による損耗」の回復や修繕まで、借主が負担する必要はないと記されています。

原状回復のボーダーは非常に曖昧なので、一般の賃貸住宅の退去時にはトラブルの要因になりやすいです。
例えば、国土交通省のガイドラインでは「経年劣化による損傷において借主は負担する必要はない」と記載があるにも関わらず、貸主と賃貸契約時に交わす契約書では、特約として経年劣化も含めて現状回復費用を借主に請求すると記載があり、どちらが負担をするのかでもめるという事態が多く見られます。
しかし、この特約はたとえ契約後であっても無効と判断されることが多いです。国土交通省のガイドラインにある「借主の故意・過失部分以外は貸主の負担」を確認した項目にすぎないと見られます。

一般住宅で貸主は事業者として強い立場にあると考えられ、借主が擁護される傾向にあります。上記のよに、契約後であっても借主が守られることもありますが、そうはいかないこともあります。できるだけ契約の前に正確に確認しておくことが大切です。

店舗・オフィスの原状回復

一般住宅と比較すると、店舗やオフィスの場合は原状回復の考え方が異なります。 物件の貸主であるオーナーと借主である事業者は、同じ"事業主"として同等の立場にあると考えられるという点がその要因です。

店舗・オフィスは人の出入りが激しいことから、使用頻度や損傷程度が予測しにくく、一般住宅よりも自然損耗や経年劣化のスピードが早いと捉えられます。 そのため、一般住宅では通常使用・経年劣化の損耗と考えられる部分でも、店舗・オフィスの場合は借主が回復費用を負担する場合がほとんどです。

店舗やオフィスとして物件を借りた場合は、退去時の原状回復費用が予想以上にかかる場合があることを念頭に入れておきましょう。

トラブルを回避するためには

退去時のトラブルを回避するためには、契約内容を明確にしておく必要があります。契約時に、通常使用による劣化の定義やどこまでを原状回復とするかなど、貸主と十分に話し合っておきましょう。

また、契約後に新たにリフォームやリノベーションを施す際も、貸主に相談するようにしましょう。場合によっては退去時に解体・撤去しなくても良いと判断されることもあります。
原状回復でもめる際は、双方の見解や解釈の違いによってトラブルに発展するケースが多いので、曖昧にせず、不明瞭な点はあらかじめ明確にしておくことが大切です。

店舗・オフィスの原状回復における例外

店舗やオフィスの原状回復は、一般住宅なら通常使用・経年劣化として扱う損傷でも借主が費用を負担するケースもあるとご説明しましたが、物件の種類によっては負担する必要がない場合もあります。

また、店舗やオフィスは雑居ビルに入居することが一般的ですが、最近はマンションの一室を小さなオフィスとして使用する事業主も増えてきています。 借りる物件がマンションの場合"住宅"として扱われ、一般住宅と同じ原状回復の考え方をすることがあります。
必ず契約の段階でその扱いについてオーナーに確認しておきましょう。

原状回復のトラブル

契約時に双方が納得・理解していれば問題ないですが、契約後では原状回復に対する考え方や責任の所在を明確化することは難しいとされています。
貸主と借主の間で原状回復の範囲や費用をめぐるトラブルに発展し、双方でトラブルを解決できない場合は、弁護士、または内閣府認証NPO法人に相談するという方法があります。

当事者間の話し合いでは落とし所が見つからない場合は第三者に専門家の視点を取り入れることでトラブル解決の糸口をみつけることはできますが、契約を結ぶ前にできるだけ内容を明瞭にし、トラブルを回避しましょう。

物件の種類による原状回復の違い

開業するためにまず物件を構えますが、賃貸物件には2つの種類があり原状回復の考え方も異なります。
原状回復の観点から見た場合、前事業者が施した内装や設備がそのまま残されている"居ぬき物件"と、内装や設備がすべて解体・撤去されている"スケルトン物件"では、どちらを選ぶべきなのでしょうか。

物件の種類による原状回復の違いを見ていきましょう。

居ぬき物件の原状回復

居ぬき物件は前事業者の内装や設備がそのまま残されていますが、開業時に一部の間仕切りを変更したり、新しい設備を造作していた場合は、入居時と同じ仕様に原状回復する必要があります。
逆に、入居時の状態に戻せば良いため、関係のない部分に関しては本来責任を負う必要はありませんが、自店舗の退去時、オーナーに前事業者が造作し残していった設備の撤去を言い渡されるということがよくあります。
契約時に原状回復の範囲について契約書の記載を確認し、入居当初から施されていたものであるということが証明できれば無駄に原状回復費を支払わずに済みますので、確認は怠らないようにしましょう。

居ぬき物件の内装をリフォーム・リノベーションする際は、都度オーナーに内容を相談するようにしましょう。そして退去時は原状回復する必要があるのか確認してください。
場合によっては、次の使用者にそのまま渡したいと考えるオーナーもいるので、原状回復費用が抑えられる可能性があります。

スケルトン物件の原状回復

スケルトン物件は内装や設備が何もない物件ですので、開業前に間仕切り壁を設置したり、思いのままに内装を施してリノベーションするのが通常です。
退去時には、入居時に施したすべてのリノベーションを解体・撤去するのがスケルトン物件の原状回復です。

入居時のリノベーション時、退去時の原状回復共に非常に費用がかかりますので、予算は計画的に立てておく必要があります。

まとめ:原状回復は契約時に明確化を

一般住宅の賃貸物件における原状回復は、通常使用や経年劣化によって消耗・毀損した箇所を除き、物件を借りた際の状態に戻すことを指します。
店舗・オフィスの場合は、通常使用、経年劣化における消耗・毀損も借主の負担で回復する必要があります。

原状回復をめぐってはトラブルに発展する可能性が高いため、借りる際の現状やどの程度の造作であれば残して構わないかなど、細かい部分まで貸主と借主の間で認識を擦り合わせておくことが大切です。
貸主・借主の間でトラブルを解決できないときは、弁護士や内閣府認証NPO法人に相談することを視野に入れましょう。

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