2022年9月28日

【2022年度】耐震補強工事の補助金制度と利用方法を自治体別に解説

耐震工事は建物の基礎から補強工事を行った場合、100万円以上かかることがあります。そのため耐震補強をしたくても、あまりに工事費用が高額だとリフォームしにくいですよね。この記事では、耐震工事の費用負担を減らすために、国と自治体が行っている補助金制度について説明します。

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耐震改修の工事費用は補助金制度でお得にできる

日本では地震が年に何度も起きるため、住宅の耐震について考える方は多いのではないでしょうか。日本木造住宅耐震補強事業者協同組合 が行った調査では、「東日本大震災のような巨大地震が10~20年以内にあると思いますか?」という質問に対して、80%以上の方がはいと回答しています。

同組合のデータでは、昭和51年~55年に建てられた建物の耐震補強を行う方が多く、工事を行った方の過半数は費用が150万円未満だったとなっています。
昔に比べて費用が安くなってきたといっても、150万円はかなりの大金ですよね。

耐震工事は高額な工事費用がかかるだけでなく、地震が起こらない限り外観や内装に問題が見えにくいため、先送りにされがちな工事です。 しかし、日本ではいつ大地震が起こるか分からない以上、耐震改修は行っておくべきです。必要な条件はありますが、耐震工事を行うと100万円の補助金が出る自治体もあるようです。

国や自治体の補助金(助成金)制度を利用することで、工事費用を半分程度にすることも可能ですので、条件に合う方は利用していきましょう。
耐震工事にかかる費用については、以下の記事で詳しく説明しています。
耐震工事の費用相場とポイント

自治体が行っている耐震工事の補助金制度

全国の自治体では耐震補強工事を行った住宅に対して、補助金制度を利用しているところが多いようです。 そうはいっても、すべての自治体が行っているわけではありませんし、補助金の交付金額や申請するための条件も異なります。

【2020年度】耐震工事の補助金制度一例

耐震工事の補助金

自治体が行っている耐震工事の補助金制度は、残念ながら実施していないところもあります。しかしながら、すべての都道府県で行われていますので、あくまで一例ですが実施されている補助金制度を見ていきましょう。

東京都中央区

  • 耐震補強工事
  • 補助対象として満たすべき条件
     ①昭和56年5月31日以前に着工したもの
     ②木造住宅の助成については、区内の業者などに発注する工事などが対象
  • 対象となる方
     所有者、または賃借人
  • 補助金:工事費用の1/2(限度額300万円)
       高齢者または心身に障害のある方がいる世帯は、工事費用の全額(限度額300万円)
  • 問い合わせ先:建築課構造係
  • 電話番号:03-3546-5459
  • URL:http://www.city.chuo.lg.jp/kurasi/sumai/taisintaisaku.html

※木造以外の建築物でも耐震補強工事の補助金制度は利用できます。 詳しくは上記の中央区のホームページでご確認ください。

東京都江東区

  • 【助成金】耐震補強工事
  • 補助対象として満たすべき条件 ①補強計画に基づく耐震補強工事であること
    ②木造耐震診断士が工事の監理を行うこと
  • 補助金:工事費用の1/2(上限150万)
    ※所有者、または同居の家族で満65歳以上の方が対象の建築物に居住している場合は、補助金の割合が2/3になる場合ことがあります。
  • 問い合わせ先:都市整備部 建築調整課 建築防災係
  • 電話番号:03-3647-9764
  • URL:https://www.city.koto.lg.jp/395104/kurashi/sumai/iji/taishin/16052.html

東京都では23区のほとんどで補強工事の補助金制度を利用することができ、東京都耐震ポータルサイトで確認することできます。

大阪府

  • 木造住宅耐震改修補助
  • 補助対象として満たすべき条件
     ①昭和56年5月31日以前に建築されている
     ②今住んでいる建築物、もしくはこれから住もうとしている建築物
     ③市町村が定める要件に合致すること
  • 対象となる工事
     ①耐震診断結果の総合評点が1.0未満、改修後は総合評点が1.0以上
    (1.0に満たない工事でも対象になる場合がありますので、詳細は問い合わせください。)
     ②課税所得金額が507万円未満(目安の年収910万円)であること
  • 補助金:定額40万円(所得の低い方は60万円)
  • 問い合わせ先:住宅まちづくり部 建築防災課
  • 電話番号:06-6210-9716
  • URL:http://www.pref.osaka.lg.jp/kenshi_kikaku/kikaku_bousai/taisin_hozyo.html

千葉県千葉市

  • 千葉市木造住宅耐震改修補助制度
  • 補助対象として満たすべき条件
    昭和56年5月以前に建てられた住宅である
    ②耐震判断の結果が1.0未満である ③申請者自らがその住宅を所有し、居住していること
    ④市税の滞納がないこと ➄在来の軸組工法による一戸建ての住宅で、2階以下であること
  • 補助金:補助額 工事費の4/5(上限100万円)
    ※2段階耐震改修工事の場合は、段階ごとに上限50万円)
  • 問い合わせ先:都市局建築部建築指導課
  • 電話番号:043-245-5836
  • URL:https://www.city.chiba.jp/toshi/kenchiku/shido/03_kaisyu.html

神奈川県大和市

  • 大和市木造住宅耐震改修工事費等補助金制度
  • 補助対象としてすべて満たすべき条件
     ①市内にある木造住宅である
     ② 申請者(所有者)に市税などの滞納がない
     ③昭和56年5月31日以前に建てられた、一戸住宅、長屋、共同住宅など
     ④耐震診断で総合評点が1.0未満の地階を除く、在来の軸組工法(骨組が柱と梁でできている)の一戸建てで、2階以下の建物  ➄建築基準法における建ぺい率、容積率の規定に適合している
     ⑥耐震改修工事などが、おおむね当該年度の1月末日までに終了する
  • 対象となる工事
     ①基礎、柱、梁、耐力壁の補強、屋根の葺き替えによる軽量化などの耐震改修工事
     ②改修後の耐震診断による評点が1.0以上で、「倒壊しない、または一応倒壊しない」となる補強工事
     ③診断者が行う現場施工確認のための立合える工事
     ④耐震改修の工事後に耐震診断報告する
     ➄市の耐震改修工事に係わる、事業者登録をした工務店等が実施した工事
  • 補助金:耐震補強工事費の1/5と工事監理費用等の1/2の合計で、上限が50万円まで
  • 問い合わせ先:街づくり計画部建築指導課建築指導係
  • 電話番号:046-260-5425、5426
  • URL:http://www.city.yamato.lg.jp/web/k-shido/taisinkaishuhojyo.html

ほかにも、神奈川県では多くの市が耐震補強工事の補助金制度を導入しています。 興味のある方は県内市町村における耐震診断・改修から確認してみましょう。

愛知県名古屋市

  • 名古屋市木造住宅耐震改修助成制度
  • 対象者:住宅の所有者(複数いる場合は代表者)
  • 補助対象として満たすべき条件
     ①耐震診断の結果、判定値(評点)が1.0未満の住宅。改修の場合は0.7未満
     ②名古屋市内にある、昭和56年5月31日以前に着工された2階建て以下の住宅(戸建て、長屋、共同住宅含む)
     ③住宅以外の用途に使用している、面積が延べ面積の1/2未満の住宅
     ④住宅に関する納税が適切に行われている
  • 対象となる工事
     【一般改修】
     住宅全体の判定値を1.0以上にする工事(0.3以上は加算されること)
     【段階的改修】
     1段階目…住宅全体の判定値を0.7以上、1.0未満にする工事。または、2階建ての1階の判定値を1.0以上にする工事
     2段階目…住宅全体の判定値を1.0以上にする工事  
  • 補助金:耐震改修工事費の4/5以内で、一般改修の場合は一般世帯が最大100万円、非課税世帯では最大150万円。その他、段階的改修の場合は補助金が異なります。
  • 申請期間:各年度の4月から翌年の1月末まで (※ただし、その年度の2月末までに完了報告ができるものに限る)
  • 問い合わせ先:住宅都市局都市整備部耐震化支援室支援係
  • 電話番号:052-972-2921
  • URL:http://www.city.nagoya.jp/kurashi/category/15-14-9-4-0-0-0-0-0-0.html

兵庫県芦屋市

  • 住宅耐震化促進事業(耐震改修計画策定費補助・耐震改修工事費補助)
  • 対象者:昭和56年5月31日以前に着工された住宅を所有する方(個人、法人も可)
  • 補助対象として満たすべき条件
     ①昭和56年5月31日以前に着工された住宅を所有する方
     ②個人の場合は所得が1200万円(給与収入のみの方は、給与収入が1420万円)以下の県民- 補助対象となる工事(すべてを満たす方のみ対象)
     ①耐震診断の結果、耐震基準に満たなかった住宅(共同住宅、および長屋住宅を含む)  ②兵庫県住宅再建共済制度に加入している
  • 補助金: 戸建て住宅の場合
     ①耐震改修計画策定費補助…(補助対象経費)×9/10(上限27万円)
     ②耐震改修工事費補助…工事費300万円以上は定額150万円、工事費300万円未満の場合は、段階的に減額していく
  • 問い合わせ先:都市建設部建築指導課建築指導係
  • 電話番号:0797-38-2114
  • URL:http://www.city.ashiya.lg.jp/kenchikushidou/iewotaterutoki9.html#menyuu1

福岡県福岡市

  • 補助対象として満たすべき条件(木造住宅の場合) ①昭和56年5月以前に建築された木造戸建て住宅である ➁2階建て以下である ③建物全体の構造評点が1.0以上となる耐震改修工事、または1階部分を1.0以上とする耐震改修工事
  • 補助金:1戸につき上限90万円 耐震改修工事の46%に相当する額、または建物の延べ面積×33,500円の合計額のどちらか低いほう(住宅面積が175㎡を超える場合は175㎡に相当する額で計算)
  • 問い合わせ先:住宅都市局 建築指導部 建築物安全推進課
  • 電話番号:092-711-4574
  • URL:https://www.city.fukuoka.lg.jp/jutaku-toshi/bid_safe/life/006.html

治体が実施する耐震補強工事の補助金制度を確認する方法

耐震工事の補助金制度があるか確認したくても、どうすればいいか分からないという方も多いのではないでしょうか。

耐震工事に関する補助金制度の有無を調べたいときは、インターネットの検索欄に、「耐震 補助金 市区町村名」と入力と入力して探すのが早いかもしれません。または、お近くの区役所か市役所などの窓口に確認する方法もあります。 耐震工事を行う前に、お住まいの自治体で補助金制度を行っているか確認してみましょう。

耐震工事の補助金制度を利用する際に気をつけること

耐震工事の補助金

耐震工事の補助金制度を利用するときは、まず申請期間を確認することが大切です。自治体で通年募集しているのであれば問題ないのですが、申請期間が定められている場合もあります。その期間を過ぎてしまうと、当然補助金の交付を受けることができません。

また、自治体によって必要な書類や手順が違うことがありますので、必ずホームページや窓口で確認してから申請してください。その際、不明点や疑問点に思うことも聞いておきましょう。

耐震工事に限らず、補助金制度は工事を始める前に申請し、工事が完了してから自治体に報告、自治が確認して問題がなければ補助金の交付、という流れがほとんどです。必要な書類を用意し、業者の選定、自治体に報告とすることがありますので、補助金制度の利用を考えている方は計画的な行動が大切です。

補助金を申請するには耐震診断が必須

自治体の募集要項に耐震診断という言葉が多くでてきましたが、耐震の補助金制度を受けるためには、耐震診断が欠かせません。 耐震診断について簡単に説明しますと、昭和56年6月以前の建物のように旧耐震基準で設計された建物の耐震性を確認することです。

耐震工事の補助金制度を利用する上で、耐震診断の評点が非常に重要になります。評点は建物を上部構造(土台の部分から上の部分)の評価=保有耐力÷必要耐力で計算されています。

保有耐力とは、建物を壊さずに床や壁の仕様、部材、耐力壁の接合部の状況、劣化具合などを見て調査され、必要耐力とは想定される地震と地盤、建物の形状や壁の配置などを元に算出されます。

一般的に耐震診断にかかる費用は10万~30万円程度で、図面に書き起こしてもらうと別途3万円前後かかります。耐震診断を行うと住宅の地盤や基礎も調査してもらえますが、地震が起きた際に注意すべき点を記載されてもらえますし、外壁のひび割れなども見てくれるため、他のリフォームをする上での指標にもなるでしょう。

耐震診断の評点は、木造建築の場合1.0以上であれば一応倒壊しない、0.7~1.0未満は倒壊する危険性がある、0.7未満は倒壊する危険性が高いとされています。0.7未満の住宅は、震度6でも倒壊する可能性があるため、できるだけ早く耐震改修を行ったほうがいいかもしれません。

興味のある方は、誰でもできるわが家の耐震診断で地震に対してどれだけ心配があるかについて、簡単な設問に答えることで自己診断してみましょう。お住まいの住宅のどのようなところに地震に対する強さ、弱さのポイントがあるかがわかります。

国が行っている耐震補強工事に関する補助金制度

耐震工事の補助金

現在(2020年5月)、個人の住宅向けに国が行っている耐震工事の補助金制度は確認できません。しかし、耐震工事を行うと以下の2つを受けることができます。

  • 所得税の特別控除
  • 固定資産税の減税

補助金制度とは違いますが、「耐震改修促進税制」として、所得税の場合は工事費用の10%相当(上限25万円)、固定資産税では耐震工事を行うことで固定資産税が半額になります。

詳しい概要や申請の条件は、このあと詳しく解説していきます。

所得税の特別控除

耐震改修を行った際、以下の条件をすべて満たしていると所得税の特別控除を受けることができます。

  • 昭和56年5月31日以前に建築された住宅である
  • 自らが住んでいる住宅である
  • 耐震改修前の住宅が、現行の耐震基準に適合していない

昭和56年5月31日以前に建築された住宅で、ご自身が住んでいる住居の耐震改修工事を令和行った方が対象です。申請が通れば、耐震改修にかかった工事費用の10%(上限250万円)を、工事が完了した年の1年間のみ所得から控除されます。

適期期限は2009年(平成21年)1月1日~2021年(令和3年)12月31日となっていますので、耐震補強工事を行う方は利用してみるといかもしれませんね。

固定資産税の減税

以下の条件を満たす一定の耐震工事を行うことで、工事完了年の翌年にかかる固定資産税の減税を受けることができます。

  • 住宅が昭和57年1月1日以前から建っている住宅である
  • 工事が現行の耐震基準に適合した工事である
  • 耐震改修の工事費用が50万円以上である

耐震改修を行った場所の床面積が、120㎡相当までと限定されてはいますが、工事を行った翌年から固定資産税が1/2になります。

しかし、この制度の期限は2006年(平成18年)1月1日~2020年(令和2年)3月31日までです。 現在(2020年5月))は、すでに申告する期間が終了していますが、固定資産税の減税ですのでこの制度が再開する可能性は高いでしょう。

固定資産税は土地の広さや建物の価値などで大きく変わってきますが、10万~20万円ほど払っている方が多いのではないでしょうか。その額が少しでも安くなるのは嬉しいですよね。申請期間も長めに設定されてますので、耐震工事を行う方は利用してみるといいでしょう。

固定資産税に関しては、以下の記事で詳しく説明していますので、興味のある方は参考までにご覧ください。
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国の補助金制度は自治体と併用できる場合もある

自治体によって補助金制度の目的や方針が異なりますので、絶対に国の補助金制度と併用できるとは言い切れないのですが、併用できるというところが多いようです。

耐震改修工事は他のリフォーム工事と一緒に行われることが多いため、補助金制度や助成金を併用できるケースがあります。そのため、耐震工事を行うときは他のリフォームを検討してもいいかもしれません。

複数の補助金制度を利用する場合は、用意する書類も多くなり手間や時間がかかることが予想されますので、できるだけ早めに自治体に問い合わせて確認しましょう。

地方公共団体における住宅リフォームに関わる支援制度検索サイトはこちら(令和2年7月公開予定)

まとめ

耐震工事の補助金

耐震補強は地震が起こりやすい日本では、非常に重要な工事となります。工事費用が大体150万円程度かかるため躊躇している方もいるかもしれませんが、耐震判断の評定が低い家では倒壊する危険性が高いため、いずれは行うことになるでしょう。

自宅が倒壊してしまうと、ご自身やご家族の命にも関わりますし、一から住宅を建てるとなれば数千万円はかかってしまいます。地震に備えて前もって耐震補強工事を行うことで、建て替えるよりも安価で安心を手に入れることができそうですね。

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監修者:

渡邊 一伸(ナベさん)

大工歴35年。大手ハウスメーカーで2年間現場監督に従事。3000棟以上のリフォーム・住宅修理の工事管理の実績をもつ。阪神淡路大震災においては1年間復興財団に奔走。その後、独立し、会社を10年経営。2016年に1月に株式会社ローカルワークスに入社。