2017年8月28日

オール電化でIHクッキングヒーターを導入するポイント

東日本大震災以降、リフォームや新規に家を建てるというときに、オール電化にする家庭が増えてきました。電気は他のインフラよりも復旧が早く、すぐに元の生活を取り戻すことができるためです。ただし、オール電化にすることに対する正しい知識を持っている人はあまりおらず、メーカーに勧められるままに導入してしまう人もいます。 ここではそんなオール電化の基礎知識と、オール電化のためにIHクッキングヒーターを導入するときのポイントについて分かりやすく紹介します。

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オール電化とは

それではまず、オール電化がどういうものなのか説明していきましょう。オール電化はこれまでガスを使っていた熱源を、すべて電気で賄うことを言います。お風呂やシャワーのお湯をこれまでガスで沸かしていたのに対して、オール電化では電気によってお湯を沸かします。オール電化で変更することになる設備は大きく分けて次の3種類です。

・キッチン
・給湯
・暖房

オール電化にするというのは、この3つの設備をガスで動くものから、電気で動くものに交換します。それぞれについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

キッチン

ガス使用時はガスコンロで調理を行いますが、オール電化にすることで、IHクッキングヒーターに置き換えます。電気でどうやって調理するのか、その仕組みは少し専門的になってしまいます。電気を用いた設備として電気コンロがありますが、これは電熱線に電気を流すことで、ヒーターの熱で調理を行います。

これに対して、IHクッキングヒーターは熱源がなく、電磁波によってフライパンや鍋などを温めて調理を行います。このため、IHクッキングヒーターに手を触れても、よほど調理器具近くまで手を持っていかなければ、熱さを感じることはありません。

電磁波による加熱ですので、IHクッキングヒーターでは電気が流れる調理器具以外は使うことができません。例えば、土鍋や焼き網を使っての料理ができないなどの特徴があります。

給湯

ガスを使ってお湯を沸かすには給湯器を利用しますが、オール電化の場合はエコキュートと呼ばれる電気給湯器や電気温水器を利用してお湯を沸かします。エコキュートは必要なときにお湯を沸かすのではなく、電気代が安い夜間の間にお湯を沸かしておき、日中にそのお湯を利用します。

エコキュートは非常にエネルギー効率が高く、理論的には1のエネルギーを供給することで3の熱エネルギーを得ることができます。実際には放熱ロスが発生しますので、熱効率は100%前後となっています。それでもエコキュートは年々進化していますので、ガスよりは効率よくお湯をわかすことができます。

暖房

ガス暖房や石油ストーブを使っていたものを、電気による暖房に切り替えます。ガス暖房ではなくエアコンを使うというのが一般的なオール電化の方法ですが、予算に余裕がある場合は床暖房や蓄熱ヒーターを導入することもできます。

床暖房にはエコキュートのお湯を使って、床下から部屋を温めます。エアコンは室内に空気の流れを作るため、ホコリなどで空気を汚してしまいますが、床暖房であればクリーンな空気のまま部屋を温めることができます。

ガスコンロとIHクッキングヒーターの違い

オール電化の基礎知識を理解できたところで、ガスコンロとIHクッキングヒーターで使い勝手や光熱費にどのような違いが発生するのかについてご紹介します。

使い勝手の違い

ガスコンロとIHクッキングヒーターの最大の違いは、火を使うかどうかということです。ガスコンロはもちろん火を使いますが、すでにご紹介しましたようにIHクッキングヒーターは火ではなく、電磁波を使って調理器具を加熱します。

【ガスコンロのメリット】
・土鍋や中華鍋での料理ができる
・火を見て火力の調整ができる

【ガスコンロのデメリット】
・常に火災の危険性がともなう
・調理器具が汚れやすい

【IHクッキングヒーターのメリット】
・火が出ないので火災になる可能性がほとんどない
・天板がフラットでお手入れが簡単

【IHクッキングヒーターのデメリット】
・使える調理器具が限られている
・価格が高い

両方のメリットとデメリットについてリストアップしました。ガスコンロは火災のリスクがあり、なおかつ天板や調理器具が汚れやすいという問題があります。IHクッキングヒーターに替えることで、それらのリスクを回避することができます。オール電化にすることで、IHクッキングヒーターを導入することになりますが、そういう面ではとても大きなメリットを感じることができます。

ただし良いことばかりではなく、これまで使っていた調理器具が使えなくなる可能性もあり、本体価格が高いため、高額な出費が必要になるというデメリットも感じるかもしれません。ただし、高いのは初期費用だけで、使い方次第ではランニングコストを下げることができ、トータルコストではIHクッキングヒーターの方が安くなるケースもあります。

光熱費の違い

それでは、ガスコンロとIHクッキングヒーターとでどれくらいのランニングコスト、光熱費に違いが出てくるのかを見ていきましょう。

調理設備の光熱費を比較するには、それぞれの1kWhあたりの価格を比較します。kWhというのは消費電力量を示します。1kWhあたりの価格というのは、1000Wの機器を1時間運転したときの電気代ということになります。

電気代は時間帯によって変わりますので、TEPCOのスマートライフプランを例に、昼間、夜間に分けて、その価格をご紹介します。

電気(昼間):25.33円
電気(夜間):17.46円

【参考】TEPCO/スマートプラン

これに対してガスコンロのガスは、都市ガスとプロパンガスで価格が違いますので、それぞれの価格例をご紹介します。

都市ガス:10.00円
プロパンガス:19.57円

※都市ガス料金:125円/㎡で計算
※都市ガスの1㎥あたりの発熱量: 45MJ/㎥で計算
※プロパンガス料金(2017年6月の全国平均):548円/㎡で計算
※プロパンガスの1㎥あたりの発熱量: 100.8MJ/㎥で計算

電気代と比較すると、都市ガスが一番安いという結果になりました。

1位 都市ガス
2位 電気(夜間)
3位 プロパンガス
4位 電気(昼間)

ガスの価格は都心ほど安くなりますので、東京都の場合は夜間電気代よりも、プロパンガスのほうが安くなることもあります。

オール電化にしてIHクッキングヒーターを導入すると、光熱費が安くなると宣伝されていることがあります。ところが実際には、ランニングコストが必ず下がるわけではなく、都市ガスを利用しているようなケースでは、光熱費がアップしてしまうこともあります。導入前には必ず自分のご家庭に合わせた計算を行って、どれくらいの金額的なメリットがあるのかを確認しておきましょう。

IHクッキングヒーターで電気代を抑えるコツ

電力自由化によって、電力会社の電気料金プランが大きく変更となりました。これによってこれまでの「常識」が通用しなくなっています。オール電化が安くなる例としてよく使われる東京電力の「電化上手プラン」は、新規での契約はできなくなっていますので注意してください。

これまではIHクッキングヒーターの電気代を抑えるには夜間の調理がおすすめとなっていましたが、オール電化向きの新料金の夜間は午前1時~午前6時となっています。朝ごはんはまだいいのですが、夕ごはんをこの時間に作るのは現実的ではありません。

ここでは、最新の料金プランを考慮したIHクッキングヒーターの電気代を抑えるポイントをご紹介します。

太陽光発電を導入する

電気代の高い昼間は電力会社の電気を使わない。これが電気代を抑えるときのコツです。とはいえ昼間にも調理を行いますし、冷暖房も使いますよね。それならば、昼間の電気は自分で確保すればいいんです。オール電化をするときに、リフォーム会社などから太陽光発電を勧められるのはこのためです。

電気代とガス代の比較からも分かるように、オール電化にしただけでは光熱費は下がりません。オール電化のキッチンのメリットは、火を使わなくなるので安全で、いつまでもキレイな状態に維持しやすくなることです。オール電化は太陽光発電を組み合わせることで、初めて日中の電気代も抑えることができ、光熱費を下げられます。

ただし、都市ガスを使っているようなケースではオール電化+太陽光発電でも、金額的なメリットはそこまで高くありません。自然災害で電気やガスが止まっても困らないのはとても便利ですが、見えないリスクに対して、どこまでお金をかけるかどうかはよく考えてから決めましょう。

電力会社のプランを見直す

太陽光発電を導入できれば理想的なのですが、リフォーム予算がない場合にはオール電化だけで精一杯ということもありますよね。そういうときには料金プランの見直しや、電力会社そのものを見直すようにしましょう。

TEPCOの料金プランであれば、次のような4つのプランが用意されています。オール電化で電気代を下げたいというのであれば、「スマートライフプラン」や、「夜トクプラン」がおすすめです。ただし、電気の使い方は家庭によって違います。電力会社の見直しも含めて、必ずシミュレーションを行って、確実に電気代が安くなるプランを選びましょう。

【スタンダードプラン】
電気料金:契約アンペア数、使用状況による

従来の「従量電灯B,Cプラン」に似ているプランです。時間帯を気にせず電気を使いたい家庭向けのプランで。契約アンペア数や使用状況で電気料金が決まります。

【プレミアムプラン】
電気料金:400kWhまでは定額で、それ以降は使用量に応じた料金を加算

「従量電灯B,Cプラン」は段階的に使用量に応じた料金が発生していましたが、「プレミアムプラン」は400kWhまでは定額です。電気の使用量が多い人向けのプランで、月々平均2万円の電気料金を支払っている場合は、2年間で約1.4万円も電気料金が安くなります。

【スマートライフプラン】
電気料金:昼間 25.33円 夜間 17.46円

従来の「電化上手プラン」を見直してシンプルにしたプランです。夜間料金が低いのですが、午前1時~午前6時までとかなり限定されています。ただし、この時間にエコキュートを使って蓄熱をすることで、給湯などの電気代を減らすことができます。

【夜トクプラン】
夜トク8(夜間 午後11時~午前7時)
電気料金:昼間 32.14円 夜間 20.78円

夜トク12(夜間 午後9時~午前9時)
電気料金:昼間 33.76円 夜間 22.55円

関東エリアのみのプランですが、共働きで日中は家に誰もいないという家庭に向いているプランです。「スマートライフプラン」よりも日中の電気代は高くなりますが、朝ごはんや夕ごはんの調理をする時間でも電気料金を抑えることが出来ます。

まとめ

オール電化でIHクッキングヒーターを導入すると、調理にかかる光熱費が下がると思っている人が多いようですが、実はそうではありません。特に電力自由化によって電力料金プランが変わったことによって、光熱費が上がってしまうケースがあります。現在使っているのがプロパンガス出ない限り、「オール電化=電気代が安い」が成立しないこともありますので注意してください。

IHクッキングヒーターで光熱費を減らす方法は2つあります。そのひとつが太陽光発電を導入することです。太陽光発電を利用すれば、電気料金の高い昼間は太陽光から電気を確保できますので、時間を気にせず調理することができます。ただし、オール電化に加えて太陽光発電のリフォームとなると、かなりの費用が発生しますので、費用対効果をきちんと計算しましょう。

もうひとつの電気料金を下げる方法は、料金プランの見直しです。TEPCOの場合、オール電化にするときは「スマートライフプラン」がおすすめとなっていますが、ライフスタイルによっては「夜トクプラン」のほうが向いていることもあります。電力会社そのもの見直しも含めて、最適な電力会社、最適な電力プランを選ぶようにしましょう。

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