2024年6月18日

レンジフードを防音タイプに交換する費用は? 静かな暮らしを手に入れよう

騒音は窓の外からだけでなく、思わぬところから侵入してきます。そのうちの1つがレンジフードです。換気をするために屋外空間に繋がっているため、そこから音が入ってきます。ここでは、レンジフードに防音性を持たせるリフォームための費用や、種類、選び方などを解説しています。

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レンジフードと換気扇は何が違うのか

レンジフード 防音

レンジフードを防音タイプにする前に、まずはレンジフードの基本的を学びましょう。レンジフードとは、キッチンコンロの上部に設置されている換気扇と、換気扇のフードを合わせた設備のことを言います。

フードによって覆われた換気扇が「レンジフード」だと考えてください。そして、フードのないものを「換気扇」として呼び分けています。では、それぞれの特徴や違いについて、簡単に説明していきます。

レンジフードには3つのタイプがある

レンジフードにはフードの形状によって3つのタイプがあります。

  • ブーツ型
  • スリム型
  • フラット型

フード

最も多いのが右の写真のブーツ型と呼ばれるもので、ほとんどのキッチンで採用されています。ブーツ型はフードだけを後付することができるため、既存の換気扇に対して取り付けることが可能です。他の2つはフードに換気扇が組み込まれていますので、コンパクトで見た目が良いといわれています。

レンジフードのファンの種類

フードだけでなく、ファンのタイプもシロッコファンプロペラファンの2種類があります。

シロッコファン

シロッコファン

  • 吸い込む力が強い
  • 作動中の音が静か
  • 見た目がスタイリッシュ
  • 屋外に面してない壁面にも設置できる

このシロッコファンを使っているものを「レンジフード」、プロペラファンを使っているものを「換気扇」と分類することもあります。ダクトを通じて外部に排気するため 、外部からの音が侵入しにくく、シロッコファンの動作音も、プロペラファンと比べると高い静音性があります。

プロペラファン

プロペラファン

  • 排気量が多い
  • 掃除がしやすい
  • 騒音が大きい
  • 風邪が強い日は喚起力が落ちる
  • 外部の音が直接侵入してくる

プロペラファンは古くからある換気扇に使われていて、換気量が大きいため飲食店のレンジフードなどにも使われています。壁面に換気のための大きな穴が空いていることで、外部の音が直接侵入してくるため、防音性が低いという特徴があります。

換気扇

換気扇

プロペラファンが壁面に取付けられたものが換気扇です。古いアパートなど、玄関のすぐ横にキッチンがある物件を見たことがあると思います。換気扇は外部に通じた壁面に設置する必要があるため、玄関側の壁に取付けてガスコンロを真下に設置することで、そのようなレイアウトになっています。

換気扇は使っていないとき、穴が閉じるような構造になっていますが、多少の隙間がありますので、外部からの音がそのまま侵入してきます。フードもありませんので音が遮られることもありません。このため交通量の多い地域ですと、騒音に悩まされる原因になります。

また、換気扇自体の動作音もかなり大きいため、稼働中は会話がしにくいというデメリットもあります。

レンジフードの防音タイプには種類がある

レンジフードからの騒音を防ぐためには、防音性の高いレンジフードに交換するという方法があります。ただ交換となると費用が高くなってしまうため、まずは防音性を高めることができるアイテムを使って騒音対策をしましょう。

レンジフードで防音をするためのアイテムは大きく分けて4種類あります。

  • 防音スリーブ
  • 防音(消音)チャンバー
  • 防音フード
  • 防音ガラリ

すべてのアイテムを導入できるとは限りませんが、これらを使うことによってレンジフードからの音の侵入を防ぐことができ、室内空間が静かになります。それぞれのアイテムについて、簡単にご紹介していきます。

防音スリーブ

防音スリーブ 出典:MISUMI VONA

防音スリーブは吸気口などの防音に使われるアイテムですが、これをレンジフードのダクト内に配置することで音に侵入を防ぐことができます。取付けはパイプ状になっている場所に差し込むだけですので、簡単に施工できます。

防音スリーブの材質によって防ぐことができる音の種類が違いますので、何種類か試して最適なものを選びましょう。

防音(消音)チャンバー

防音チャンバー 出典:Amazon

防音チャンバーはダクトに設置するボックスです。吸音材を仕込んだボックスをダクトの途中に設置することで、外部からの音を減衰させ、室内まで届かないような仕組みになっています。一般家庭ではあまり使われることがありませんが、ビルの空調設備などで採用されています。

防音フード

防音フード

防音フードは建物外部の換気口に取り付けるフードに、防音機能を持たせたものです。通常のフードのように雨やホコリがダクト内に侵入するのを防ぐだけでなく、フード内に消音材を配置することで、室内に音が伝わってくるのを防ぐことが出来ます。

防音ガラリ

防音ガラリ

換気口のガラリに消音材を組み込むことで、室内に入ってこようとする音を防ぐことができるアイテムです。防音フードや消音スリーブと組み合わせることで、換気口からの音の侵入を大幅に減らすことができます。

防音タイプのレンジフードを選ぶポイント

レンジフード 防音

レンジフードを交換するには費用がかかるため、防音アイテムを使ってダクトや換気口への細工をする方が多いようです。ただし、それだけでは十分な防音性を得られないことがあります。そのような場合はレンジフードを交換しましょう。ただし、レンジフードなら何でもいいというわけではなく、形状や種類を考慮して選ぶようにしてください。

まず、重要なのがファンの種類です。騒音をカットしたいのであれば、プロペラファンは避けたほうが無難です。プロペラファンでは、ダクトや排気口に細工することができませんし、何よりもプロペラファンそのものが騒音となります。静音性を重視するのであれば、シロッコファンのレンジフードがよいでしょう。

また、最近注目されているのがDCブラシレスモーターを使った換気扇です。DCブラシレスモーターは、ACモーターの換気扇と比べて消費電力が小さいため、ファン本体のサイズを小さくすることも可能です。これによりファンが発するモーター音を下げることができ、調理中の会話を可能にしてくれます。

それでは、どのようなレンジフードを選べばいいのか詳しく説明していきます。

防音性能はフードの形状によって異なる

レンジフードにはブーツ型、スリム型、フラット型と3種類ありますが、換気口からファンまでの構造はいずれも同じですが、ファンから先に違いがあります。ブーツ型とフラット型はフィンの前にフィルターがあるだけですので、音がそのまま筒抜けになってしまいます。

スリム型はフィルターがなく、フィンの前にプレートがあるため、音が分散されてしまいます。このため、静音性という意味ではスリム型が優れています。

レンジフードの運転音も静かにしたい場合には、ファンのモーターを天井部に配置したパナソニックの「静音スリムフード」もおすすめです。可動部と換気部が離れていますので、外からの騒音も減衰しやすく、音が小さくなるという効果も期待できます。

防音と共に通気性も重要になる

防音を考えたときに注意しなくてはいけないのが通気性です。音の侵入を防ぐために、防音スリーブを設置したり、ガラリを設置したりすると、空気の流れが遮られてしまう可能性があります。

少しくらい換気量が減ってもいい。と思う方もいるかもしれませんが、台所の換気量は建築基準法によって定められています。家を建てるときに、必ず必要な換気量の計算を行い、換気扇の選定を行っていますが。防音設備を追加したことで、必要な換気量が取れなくなる可能性があります。

そうなると調理中に十分な換気ができなくなり、キッチン内に一酸化炭素が溜まってしまって中毒になることも考えられます。このため防音設備を導入するときには、圧力損失特性などを調べて、十分に換気できることを確認しておかなくてはいけません。

換気量の計算は難しく、ある程度の知識が必要です。自分で計算する自信がない方は、業者に依頼して問題ないことを確認しましょう。もし既存のレンジフードで換気量が不足するようでしたら、防音設備と合わせてレンジフードもリフォームしてください。

レンジフードは賃貸物件では防音対策をしていない?

レンジフード 賃貸

最近は防音のニーズが増えたことで、分譲マンションではレンジフードに防音対策をしているケースが増えてきましたが、賃貸物件の場合にはほとんど対策されていません。ワンルームマンションやアパートなど、初期費用を抑えるためにプロペラファンを採用しているケースがほとんどですし、ファミリータイプのマンションでも換気扇と建物外部が筒抜けになっています。

その理由としては、すでに説明しました必要換気量の問題があります。防音スリーブなどをつけてしまうと、必要換気量が確保できなくなる可能性があります。そうなると換気扇をひと回り大きな物に変えなくてはいけなくなり、初期費用が上がってしまいます。

また、音をうるさく感じるかどうかというのか個人差があるので、防音対策をしていないところもあります。生活環境に支障がない騒音レベル(40~45デシベル)以下であれば、特に対策を行わないのが一般的です。

ただし、幹線道路沿いのマンションなどは、防音対策をしているケースもあります。物件を探すときに、換気口部分をチェックしてください。換気口に遮音タイプのフードを使っていれば、騒音は気にならない程度にまで小さくなっているはずです。外部の音が気になる地域で物件探しをするときは、必ず換気口を確認しておきましょう。

レンジフードを防音タイプに交換する際の費用

レンジフード 防音

レンジフード交換費用相場:4万~8万円
レンジフード本体価格:2.5万~15万円
防音換気口リフォーム:2万~5万円

レンジフードを交換するために必要な費用は4万~8万円です。既存のフードと換気扇を取り外して、新しいレンジフードに交換するための費用で、これに加えてレンジフード本体の費用として、2.5万~15万円程度かかります。

すでにお伝えしましたように、レンジフードそのものに防音機能を持たせたものはほとんどありませんが、プロペラファンのレンジフードをシロッコファンのものに変えるだけでも防音効果がアップします。また、シロッコファンでも最新のモデルに変えることで、騒音が改善されることもあります。

簡易的な防音リフォームとしては、換気口に防音スリーブを入れるなどの工事を行いますが、こちらは2万~5万円程度で可能です。レンジフードの交換と合わせて行うことで、さらに高い防音効果が期待できます。

レンジフードの防音を依頼すべき業者

レンジフード 業者

レンジフードの防音は必要換気量の計算なども必要になるため、DIYでの施工はおすすめできません。必ず専門知識を持った業者に依頼して施工してもらいましょう。ただし、防音工事ができる業者は数多くいます。

まだ事業を立ち上げたばかりという業者もいれば、何十年も続いている業者もいます。施工してもらった結果、騒音が解決していないとなっては困りますので、業者選びがとても重要になってきます。

レンジフードの防音を依頼すべき業者としては次の2点を意識しましょう。

  • 防音工事の施工経験がある
  • アフターフォローがある業者にする

当たり前のことのように思えますが、頭では分かっていてもついつい見積金額で業者を選んでしまいがちです。そうならないためにも、なぜこの2点が重要なのかをそれぞれ説明していきます。

防音工事の施工経験がある

防音工事はとても専門性の高い工事で、防音に対する知識やノウハウだけでなく経験が重要になってきます。このため、依頼するときは防音工事の施工経験がある業者であることが大切です。いくら見積金額が安くても経験のない業者には依頼しないようにしましょう。

防音工事の相談をするときに、過去にどれくらいレンジフードの防音工事を行ったのか確認しておきます。それと合わせて、防音工事に関する質問に対して曖昧な答え方をしない業者であることも重要です。素人でも分かりやすい言葉を使って、丁寧に対応してくれる行者の中から選ぶようにしてください。

ちなみに、最初から1社に絞るのではなく2~3社に相見積もりしてください。1社だけに依頼すると見積金額が適正なのか判断できませんし、業者によって防音工事内容の提案が違ってきます。自分の予算を決めておき、その予算内で何ができるかを提案してもらいましょう。

その中から最適だと思える提案をしてくれた業者に発注してください。

アフターフォローがある業者にする

どんな腕のいい職人であっても、100%の防音をすることはできません。特にレンジフードは外部と繋がっていますので、どこかで妥協しなくてはいけません。ただし、まったく騒音が改善されていないと感じたり、換気量が不足していると感じたりした場合は、施工してもらった業者に直してもらう必要があります。

優良な業者であれば、きちんと効果を得られるようにアフターフォローをしてくれますが、業者によっては別料金が発生したり、まったく対応してくれないこともあります。そのようなことにならないように、きちんと工事に保証期間を設けている業者に依頼しましょう。

アフターフォローが充実している業者は、腕に自信のある業者でもあります。技術力のない業者では、アフターフォローをすることで赤字になることもあるため、保証期間をつけることを嫌がります。高い技術がある業者を選ぶという意味でも、アフターフォローがある業者を選ぶようにしてください。

まとめ

レンジフード 防音

最近は防音性の高いサッシを導入する家やマンションが増えてきた結果、外部と繋がっているレンジフードから、室内に入ってくる音が気になるという方が増えてきました。

最新のレンジフードに交換するだけでも防音効果が期待できますが、さらにダクトや換気口に防音アイテムを使うことで、外からの音の侵入を減らすことができます。ただし、音の侵入を防ぐことで換気効率が落ちてしまう可能性がありますので、導入には注意が必要です。

レンジフードで大事なのは、何よりもしっかりと換気するということです。このため、防音アイテムを導入するにしても、必ず必要な換気ができているのか計算しなくてはいけません。自分で計算するのは非常に難しいため、業者に相談することをおすすめします。

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監修者:

渡邊 一伸(ナベさん)

大工歴35年。大手ハウスメーカーで2年間現場監督に従事。3000棟以上のリフォーム・住宅修理の工事管理の実績をもつ。阪神淡路大震災においては1年間復興財団に奔走。その後、独立し、会社を10年経営。2016年に1月に株式会社ローカルワークスに入社。