キッチンの間取りは家の構造から考える
キッチンリフォームでは、ついキッチンだけのレイアウトを考えてしまうかもしれませんが、単体で考えるのではなくダイニング・リビングと合わせて考えることで、間取り変更の自由度が高くなります。
そして、以下の3つを意識することで具体的にキッチンの間取りをイメージできますし、リフォーム後に後悔するのを防ぐことにもなります。
- キッチンのレイアウト
- キッチンの向き
- キッチンとリビング・もしくはダイニングを含めた間取り
それぞれどのようなことなのか順々に説明していきます。
キッチンのレイアウトは6種類ある
キッチンは毎日使用するものですので、使いにくい間取り(レイアウト)にしてしまうと、日々ストレスを感じることになります。
使い勝手の良いレイアウトはご自宅の状況によって違いますので、一概に「〇〇がいい」とは言えません。しかし、キッチンのレイアウトは6つの型に分けられますので、その中からご自宅に合ったものを選ぶとよいでしょう。
Ⅰ型
Ⅰ型キッチンは、調理スペース、シンク、コンロといった設備が一直線に並んでいるキッチンのことです。
設置するのに場所を取らないため、一般的によく使用されているキッチンでもあります。動線(人や物が移動する経路のこと)が一直線なので、準備から調理に移る際に動き回らずに済みます。
そうはいっても、横に長いⅠ型キッチンでは端から端に行くのに時間がかかりますし、来客者の視線を遮るものがないため、キッチンに置いてある物や汚れも見られてしまいます。
Ⅱ型
Ⅱ型キッチンは、Ⅰ型キッチンの設備を2つに分けたキッチンになります。メーカーによって違いはあるかもしれませんが、大体はシンクとコンロが別々に分かれています。
前後に作業スペースがあるので、調理器具を多く使用する場合でも、窮屈に感じることなく調理することが可能ですし、移動の距離も短くて済みます。
一見便利に思えるⅡ型キッチンですが、単純に2つの設備をキッチンスペースに置くことになるため、リビングやダイニングが狭くなります。
その他にも、背後に気を配らないと振り向く際に、ぶつかってしまうことがあります。
L型
出典:pixabay
シンクとコンロを離してL字型に配置したキッチンのことです。L字の配列のためⅠ型キッチンよりも作業動線が短くなりますし、2人以上がキッチンにいても動きやすい形となります。
ただし、導入するには大体6~8畳ほどの広さが必要になりますし、L字の角部分がデッドスペース(死角)になりやすいので、作業するときは気をつけなくてはいけません。
U型
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シンクや調理スペース、コンロなどがU字のように1つに繋がっていているものが、U型キッチンといわれるものです。手の込んだお料理や品数を多く作りたい場合、家族でお料理を楽しむこともできますので、キッチンを主役として使う時に選びたいレイアウトです
L型キッチンと同様に広さが必要のため、リビングやダイニングに十分なスペースがないと圧迫感が出てしまいます。U型キッチンにするときは、全体のバランスを考えて配置しましょう。
アイランド型
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アイランドキッチンのアイランドは島という意味ですので、その名の通りキッチンまたはカウンターが独立しているため、レイアウトの自由度が高く人気が出てきています。
四方に壁がないので開放感があり、家族や友人と一緒に調理ができるキッチンですが、収納スペースが少ないので別に用意しなくてはいけないことと、独立している部分が常に視界に触れることは、人によってデメリットに感じるかもしれません。
ペニンシュラ型
ペニンシュラは半島という意味で、ワークトップが半島のように突き出ていて、左右どちらかに壁があるキッチンになります。
四方に壁がないアイランド型とは違い、片側にしか壁がないのでオープンな雰囲気を保ちながらも、人の視線を一部遮ることができます。
アイランド型にも言えることですが、揚げ物を作っているときの油はねなど、リビングやダイニングに汚れが飛んでしまうことがあるので、コンロの前に仕切る板を設置するといった、何かしらの対策が必要になります。
キッチンの向きも間取り変更では重要
キッチンの間取りを考える上で、キッチンの向きも重要になります。キッチンの向きは、壁付きタイプと対面タイプの2種類しかありません。
そのため、仮にⅠ型キッチンにすると決めたら、壁付きのⅠ型キッチンにするか、対面のⅠ型キッチンにするかを決めなくてはいけません。
ここでは、キッチンの向きについて解説していきますので、ご自宅の生活に合ったものにしましょう。
壁付きタイプ
古いタイプの家やマンションで普及しているのが壁付きタイプです。調理スペースが壁に面しているため調理に集中することができ、リビングやダイニングを広めに取ることができます。
ただし、ダイニングやリビングに対して背を向けることになるため、小さいお子様がいるご家庭では調理中に何度も振り返ることになってしまいますし、設置場所によっては家族との時間を共有しにくくになります。
対面タイプ
対面タイプは、体をダイニングやリビングの方に向けて調理を行えるため多くの方が導入しています。
小さなお子様がいても様子を見ながら作業できますし、テレビを見ながら料理をすることも可能です。調理スペースの上に吊戸棚を設置することで、収納場所にも困りません。
リビング・ダイニングを含めた間取り変更の考え方
最近では、家族のコミュニケーションを大切にしたいご家庭が増えてきたことで、開放的な空間が魅力的なキッチンとダイニングが1つになった「ダイニングキッチン(DK)」や、キッチン・ダイニング・リビング全てが一緒になった「リビングダイニングキッチン(LDK)」にリフォームするケースが多くみられます。
家の中で使える面積は決まっているため、どこかを広く取ればどこかが狭くなるものです。キッチンだけでなく、リビングやダイニングも含めた利用方法や、家族構成などを考慮してどのような間取りにするべきなのかを考えましょう。
ここでは、リビング・ダイニングを含めたキッチンの間取り変更について解説していきます。
オープンキッチン
オープンキッチンは、吊戸棚がなくコンロの上に換気扇があるだけです。このため、開放的でダイニングやリビングと一体感を出すことができます。料理を運ぶのも楽ですし、遮るものがないのでダイニングやリビングの採光だけで、調理をすることができます。
しかし、吊り戸棚がないので収納スペースが少なくなります。
さらに、遮るものがないということはキッチンが人の目につきやすく、臭いがダイニングやリビング全体に広がってしまうため、カーテンなどにうってしまうことがあります。
クローズドキッチン
出典:三菱UFJ不動産販売
クローズドキッチンはキッチンが壁に覆われていて、ダイニングやリビングから見えないキッチンのことです。キッチンが独立しているので、多少散らかっていても人目を気にしなくて済みますし、臭いが広がることもありません。
壁に覆われているため、夏場に料理をしていると熱気がこもりやすく、十分な採光を得るためにキッチン用の照明が必要になります。
セミオープンキッチン
セミオープンとは、キッチン前面に腰壁やカウンターが取り付けられたものになります。カウンターを設けることで、対面キッチンであっても手元を見られることなく、家族や友人との会話を楽しむことができます。
キッチンの真上に壁や戸棚がないので、リビングやダイニングとも一体感がありますが、一方で臭いや油はねがリビングやダイニングのほうに広がりやすいというデメリットがあります。
セミクローズドキッチン
セミクローズドキッチンは壁に囲まれていますが、主に作業スペース部分の前に壁がないため、リビングやダイニングの様子を見ることができます。
半個室のような一部分だけ壁がない状態だと思ってください。
ほぼ壁に囲まれていますので、調理スペースやコンロ周りが人の目に晒されることもないですし、臭いが周囲に広がるのも防いでくれます。
キッチンの間取り変更で失敗しないポイント
キッチンは毎日の食事を作る場所ですので、家事をする人にとっては生活の中心ともいえる場所になります。このため、ストレスを感じることなく作業するためには、キッチンの使いやすさが非常に大切です。
ここでは、キッチンの間取り変更で失敗しないために、重視すべきポイントについて詳しくご紹介します。
使いやすいキッチンのサイズを考える
キッチンは間口と高さが重要になります。間口とはシンク側の横幅のことで、一般的なキッチンは間口が15cm単位で販売されています。冷蔵庫や食器棚など他の設備との兼ね合いを考えて選びましょう。
高さは家族の身長に合わせて決めるべきですが、身長差が大きいときは一番使用する方の高さに合わせるのが無難です。ほとんどのキッチンが80cmから5cmごとに選べるようになっていて、 JISの規格では「身長÷2+5cm」が基準なので身長が150㎝の方は80cm、160cmの方は85cmのものが良いとされています。
対面キッチンにする場合は、通路スペースにも配慮しなくてはいけません。人が楽に通れるように80cm前後は確保します。
システムキッチンのサイズについては、以下の記事に詳しく説明されていますので、参考までにご覧ください。
システムキッチンの選ぶ基準って何? 選ぶステップを分かりやすく解説
水回りの設備全体の動線を考える
キッチンは生活の中心となるため、変更する場合はなるべく家の中心にレイアウトするのが理想です。キッチンだけでなく、同じく毎日使うことになる洗濯機や浴室、トイレなどもキッチンの近くにあるのとよいでしょう。
水回りの設備を離してレイアウトしてしまうと、排水管を延長する工事が発生してしまいます。工事費用が高くなるだけでなく家事もやりにくくなります。日々の家事を少しでも楽にするためにも、水回り設備への移動距離を短くなるようにレイアウトすることをおすすめします。
冷蔵庫の位置を考える
キッチンの使いやすさでは、コンロとシンク、冷蔵庫の位置関係が重要となります。その3つを結ぶ動線を、ワークトライアングル(キッチントライアングル)と呼びます。
3つが三角形になるように配置するのが良しとされていて、それぞれの距離の合計が510cmになるのが理想です。ワークトライアングルを意識することで、キッチンで作業していても狭さを感じることがなく、キッチン内での移動も最小限に抑えることが可能です。
調理をしている際、振り向いた先に冷蔵庫があるのと、冷蔵庫まで歩かなくてはいけない状態では、どちらが使いやすいかは言うまでもありませんよね。
また、冷蔵庫は左右のどちらに扉が開くかも考えて、配置を決めるようにしましょう。何も考えずに設置してしまうと、冷蔵庫から物を取り出しにくくなることがありますので注意してください。
キッチン内のコンセントの位置を考える
キッチンは電化製品を多く使う場所ですので、コンセントの位置や個数が重要になります。「延長ケーブルを使うから問題ない」と思う方もいるかもしれませんが、1つのコンセントで使用できる消費電力は1500W(15A)、もしくは2000W(20A)までと決まっています。
クッキングヒーターや電子レンジ、食洗機など消費電力が大きいものは、専用のコンセントを確保してください。さらに、コンセントの位置も考えてキッチンの間取りを決めなくてはいけません。
キッチンの間取りは問題がなかったのに、コンセントが足りなかったために冷蔵庫が離れてしまい、結果使いづらくなってしまったケースもあります。 コンセントが足りないときは増設する、という方法もありますが別途費用がかかりますし、電気工事になるため専用の業者でなければ対応できません。
キッチンの間取りを変更する時点で、コンセントの増設する旨を工務店やリフォーム会社に伝えていれば、一緒に行えるように業者を手配してくれます。別々に依頼するよりも費用が安く済むことがほとんどですので、キッチンの間取りだけでなく家電の位置も考えておくとよいでしょう。
広めに調理スペースを確保する
キッチンの間取りを考えるときは、調理スペースが重要になります。キッチンでは肉や野菜などをカットをしながら、コンロを使用することがあります。それらに加えて調理器具を洗うこともあります。
同時にいくつもの作業を行うためには、それなりに調理スペースの広さが必要になります。調理スペースが狭いと、手や体が触れて調味料を倒してしまったり、料理を落としてしまうこともあるでしょう。
それらが続くと強いストレスとなるだけでなく、作り直すとなると無駄に時間がかかってしまいます。ご自宅によっては十分なスペースを確保できないかもしれませんが、使いやすいキッチンを心がけましょう。
収納スペースについて考える
キッチンのデザイン性を優先した結果、食器や調理器具の置き場所がないということがあります。まずは、ご自身がどれくらいの調理器具を持っているのかを把握した上で、必要な収納スペースを確保してください。その際、今後増えることも考えて広めに確保しておくとよいでしょう。
かといって、収納スペースは無限に増やせるものではありません。使わない食器などは処分するなどして、必要以上にスペースを取らないように気をつけてください。
ゴミ箱の設置場所を考える
キッチンを使用していると様々なゴミが出ます。しかも近年ではしっかり分別することが求められますので、ゴミ箱も複数用意しなくてはいけません。
このため、ある程度多くのゴミが出ることを想定してゴミ箱を選び、設置できるスペースも確保しておきましょう。ゴミ箱がキッチンからはみ出ているのは見栄えも悪いですし、動線の邪魔になってしまいます。
キッチンの間取り変更を行った施工事例
最後に、リフォマの加盟店が実際に行ったキッチンのレイアウト変更に関する施工事例をご紹介します。 施工内容や費用も掲載していますので、キッチンの間取り変更を行う際、ぜひ参考にしてみてください。
神奈川県横須賀市 キッチンリフォーム
- BEFORE
- AFTER
厚木市 オープンキッチン 対面スタイル
- BEFORE
- AFTER
さいたま市M様邸✕キッチンリフォーム✕安心、安全なプロの工事
- BEFORE
- AFTER
まとめ
キッチンは毎日使用する非常に重要な空間です。そのため、キッチンの間取りを変更するときは、実際に使用する時のことをイメージし、上記でご紹介したレイアウトからキッチンの種類を選びましょう。
そして、できるだけキッチンの出入り口が生活の中心に配置されるように、家全体のことを意識しながら間取りを決めてください。使いにくいキッチンではストレスが溜まってしまいますので、妥協することなくしっかりと考えることが大切です。
いかがでしたでしょうか。なるべく費用を抑えてリフォームをしたい方へお知らせです。リフォマは中間業者を介さずに、ご要望に合う専門業者を直接ご紹介します。中間マージンが上乗せされないため、管理会社や営業会社などより安く費用を抑えることができます。下記のボタンからお気軽にご相談ください!
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渡邊 一伸(ナベさん)