2018年9月12日

トタン屋根の修理にはいくら必要? リフォームのための基礎知識

トタンは安価ではあるものの、錆びやすく雨漏りしやすい屋根材です。安いという理由だけで高度経済成長期にはトタン屋根の家がたくさんできましたが、きちんとメンテナンスを行っていても、定期的なリフォームが必要になります。ここではそんなトタン屋根の修理にかかる費用やリフォーム前に知っておくべき基礎知識についてご紹介します。

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トタンとは何か

屋根 トタン

出典:photoAC

まず、トタンがどのようなものなのかについて説明していきます。
トタンというのは亜鉛めっき鋼板と呼ばれる板材のひとつで、鉄板の表面に薄い亜鉛の膜を付けたものだと考えてください。

とても加工性がよく屋根材以外にも外壁材として使われています。いずれも主流でなくなっていますが、今でもまだ多くの家で使われ続けています。

トタンを使った屋根は、一般的にトタンと垂木と呼ばれる木でできた棒と組み合わせて作られています。垂木はトタン屋根に強度を持たせることができ、瓦棒屋根とも呼ばれています。

トタン屋根は継ぎ目が少ないため新品の状態ですと雨漏りしにくく、さらに勾配も緩やかにできるため工事がしやすいということで、1980年代までは一般住宅だけでなく、アパートなどの屋根材としても採用されていました。

屋根のトタンを取り替えるタイミングは?

最近の屋根材としてはトタンはほとんど使われなくなりました。その理由としては耐久年数が10年と、あまりにも短いということです。もちろん10年でダメになるというわけではなく、7~10年サイクルで再塗装をしておけば、問題なく使えます。

それならトタンを使い続ければいいのでは、と思う方もいるかもしれませんが、塗装を何度も繰り返すとヒビや剥がれが発生しやすくなります。塗装ができなくなると鋼板がむき出しの状態になりますので、そこに雨水がかかることで錆や腐食が発生し、雨漏りにつながります。

このため、基本的には塗装がうまくできなくなったときが、トタンを取り替えるタイミングになります。雨漏りしてからでいいじゃないかと考える人もいると思いますが、雨漏りは屋根の下地まで水が浸透していることがあるため、下地まで取り替えることになります。

屋根の取り替えだけでなく、下地の補修までするとリフォーム費用が高額になってしまいますので、そうなる前に葺き替えるのが理想です。

また、屋根材の下にあるルーフィングと呼ばれる防水シートにも寿命があり、20~30年で防水効果がなくなります。きちんとメンテナンスを続けて屋根に問題がなくても、30年経過したところで、葺き替えをする必要があります。

トタンのメリットとデメリットについて

トタン屋根が使われるようになったのには、もちろん多くのメリットがあるためです。しかし、現在使われなくなったのには、それをデメリットが明確になったためです。

トタンにはどんなメリットとデメリットがあるのか、リフォームをする前にきちんと把握しておきましょう。

メリット

  • 価格が安い
  • 軽くて建物への負担が小さい
  • 新品の状態なら防水性が高い
  • 屋根の勾配を緩くできるため施工しやすい

いろいろなメリットがありますが、多くの家で使われるようになった最大の理由が、価格の安さにあります。安価で簡単に入手できたため、次々と新しい家が建てられた高度経済成長期という時代にマッチした、という歴史があります。

トタンは安いだけではなく、軽量ですので建物にかかる負担を小さく出来ます。このため瓦屋根の家にするより柱に余裕ができますので、耐震性も上がり建物そのものの寿命を伸ばしてくれます。

さらには、トタンは雨水が溜まりにくい形状ですので、屋根の勾配を緩やかにできます。屋根の勾配が緩やかになると、そこでの作業が安全に行えるため施工時間が短くなります。その結果、工事費用を安く抑えることができます。

また、継ぎ目が少ないため防水性がとても高く雨漏りしにくい、というのもトタン屋根が使われるようになった理由のひとつとして挙げられます。ただし、これはあくまで新品の状態やきちんとメンテナンスされている状態での話なので、経年劣化したトタンは雨漏りしやすいといわれています。

デメリット

  • メンテナンスを怠るとすぐに錆びてしまう
  • 雨音がうるさい
  • 断熱性が悪いので夏場は暑い
  • 傷や凹みができやすい

メリットの多いトタン屋根ですが、もちろんデメリットもあります。むしろ、上記のデメリットによりトタン屋根の家が減ってきました。その最大のデメリットとして挙げられるのが錆びやすいという点です。トタンはメンテナンスを怠ると、すぐに錆びてしまいます。

さらには、雨音がとてもうるさくて気になるという方もいます。小雨なら問題ないのですが、最近のゲリラ豪雨の場合は、屋根に穴が空くのではないかと思うくらい大きな音がして、夜中にうるさくて目が覚めてしまったという話もあります。

トタンは金属ですので、温められるといつまでも熱を持つというデメリットもあります。夏場の日中に温められた屋根は夜になっても冷えることがありませんので、建物全体がずっと暑くなってエアコンの効きが悪くなることがあります。

そして、加工性しやすため施工後には傷つきやすかったり、凹みが発生しやすいというデメリットがあります。屋根にアンテナなどを設置するときに、傷や凹みが発生してそこに水が溜まって錆が発生してしまうということがよくあります。

屋根をガルバリウム鋼板にする人が増えている

屋根 トタン

トタン屋根を葺き替えをリフォーム会社に相談すると、トタン屋根にするのではなく、ガルバリウム鋼板の屋根を提案されることがよくあります。そして実際にガルバリウム鋼板の屋根に変えている方が増えています。

なぜトタンではなくガルバリウム鋼板なのでしょうか?また、ガルバリウム鋼板にすることでどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

ガルバリウム鋼板にする理由

ガルバリウム鋼板がトタンよりも明らかに優れている点が1つあります。それはトタンよりもメッキが3~7倍も長持ちするということです。このため、トタンのように短いサイクルで再塗装をする必要がありません。

トタン:亜鉛めっき
ガルバリウム鋼板:亜鉛+アルミ+ケイ素めっき

少し専門的な話になりますが、いずれも傷がついたときにはメッキ成分を使って、板そのものが自分で傷口を修復しようとします。
このときトタンは亜鉛が大量に流出するため、傷口が元よりも広がってしまいます。ところがガルバリウム鋼板の場合は、亜鉛よりも早くアルミが流出することで傷口を広げずに自己修復します。

このように、ガルバリウム鋼板は錆が発生しにくく、30年以上も問題なく使い続けることができますので、本体価格はトタンよりも高めでもランニングコストを抑えることができます。メンテナンスも最小限で済みますので、トータルコストを考えて、最近の瓦棒屋根はガルバリウム鋼板が主流になっています。

屋根がトタンの場合の工事方法

屋根 トタン

古くなったトタン屋根をリフォームするときには、基本的には瓦屋根やストレート屋根に変えることはできません。このためリフォームするにしてもトタン屋根かガルバリウム屋根のどちらかになります。

その施工方法としては、葺き替え工事カバー工法の2種類がありますので、それぞれの工事工法について詳しくご説明します。

葺き替え工事

葺き替え工事は、既存の屋根材を取り除いて新しい屋根材に取り替える工法です。既存の屋根材を取り外しますので手間もかかり、さらには廃材も発生するため費用は高くなってしまいますが、屋根の下地の状態を確認できます。

トタン屋根の場合は、垂木やルーフィングが劣化していることが多いため、リフォーム会社に相談すると、通常は葺き替え工事を提案されます。家の状態を把握するためにも、特別な理由がない限り、葺き替え工事でのリフォームがおすすめです。

カバー工法

カバー工法は既存の屋根材の上に、新しい屋根材を施工する工法です。既存の屋根材を撤去しませんので、リフォーム費用を抑えることができます。既存の屋根をそのままにしますので、下地やルーフィングの状態を確認できないというデメリットがあります。

このため、既存のトタン屋根が錆びていたり、穴が空いているという場合にはあまりおすすめできません。業者によってはカバー工法でのリフォームに難色を示すところもあります。

ただし、カバー工法にもメリットがあります。トタン屋根は垂木部分が出っ張っていますので、下の屋根と被せる屋根の間に空気の層を作ることができます。この空気の層によって断熱性を上げることができますので、夏に暑くなるというデメリットが解消され、雨音も小さくなります。

トタン屋根の状態が悪くないのであれば、メリットのあるカバー工法もおすすめです。最終的にどちらを選ぶかはリフォーム業者と相談して、屋根の状態を確認してもらった上で決めるようにしましょう。

トタン屋根の工事費用は?

いざトタン屋根の修繕や葺き替えを行おうと思ったときに、気になるのはやはりその費用ですよね。トタン屋根の工事にはどれくらいの費用がかかるのでしょう?

部分張り替え:4,000円/㎡
カバー工法(トタン): 7,000円/㎡
カバー工法(ガルバリウム鋼板):9,000円/㎡
葺き替え(トタン):9,000~12,000円/㎡
葺き替え(ガルバリウム鋼板):11,000~14,000円/㎡

カバー工法のほうが葺き替えよりも安く、さらに断熱性や防音効果も期待できますが、カバー工法が可能なのは、既存の屋根がしっかりしている必要があります。

また、ガルバリウム鋼板とトタンでは2,000円/㎡の差がありますが、トタンは頻繁にメンテナンスが費用になります。

工事費用だけを考えると、トタンでのカバー工法が最も安くなりますが、トータルコストを考えたときには、ガルバリウム鋼板がおすすめです。カバー工法にするかどうかは屋根の状態によって変わりますので、まずは業者に屋根の状態をチェックしてもらい、相談しながら最適な方法を選びましょう。

トタン屋根を業者に依頼するときの注意点

屋根 トタン

トタン屋根のリフォームを業者にお願いするときには、いくつかの注意点があります。きちんと施工をしてもらうために、次の3点に注意して業者を選ぶようにしましょう。

  • 金属屋根修理専門の業者に依頼する
  • 複数の業者に見積をしてもらう
  • 施工実績があり信頼できる

屋根のリフォームを依頼するとき、どこにお願いしていいのか分からず大手リフォーム会社に相談に行くという方もいると思いますが、大手リフォーム会社は自社で工事を行わず、金属屋根修理専門の業者に作業の丸投げすることがあります。

トタン屋根のリフォームは金属屋根修理を専門に行っている業者に直接依頼しましょう。ただ、1社だけにお願いした場合には、査定額を比較できないので、できるだけ複数の業者に見積もりをお願いして、相見積もりの状態にしてください。

そして、業者を選ぶときには見積金額だけで決めないようにしましょう。いくら安くても腕が悪かったり、後から追加費用を請求されたりしたのではトラブルにつながります。これまでトタン屋根の施工実績があり、見積もりを出してもらうまでのやり取りで信頼できると判断した業者にお願いしましょう。

トタン屋根は取り扱いしやすいとはいえ、素人が簡単に扱えるものではありません。DIYで直そうとする方もいますが、失敗する確率も高く、さらには屋根の上に立ちますので落下するリスクもあります。できるだけトタン屋根の修繕は業者にお願いしましょう。

まとめ

築30年くらいの家ですと、屋根にトタンを使用していることを多々見かけます。トタンは軽量ですし、価格も安いのでリフォーム費用を抑えるときに選ばれることも多いのですが、ここでご紹介しましたようにメンテナンスが必須で、ランニングコストがかかります。

経年劣化することで簡単に雨漏りしますので、できることならリフォームするときには、ガルバリウム鋼板を使うようにしましょう。トタンの状態がいいときはカバー工法、トタン屋根が錆びて穴が空いているようであれば、下地からやり直しが必要ですので葺き替え工法で取り替えることになります。

ガルバリウム鋼板にすると工事費用が上がりますが、相見積もりにすることで工事費用を抑えることが可能です。リフォーム費用を抑えるためにも3~4社の金属屋根修理専門業者に相談して、最適な業者を選ぶようにしましょう。

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監修者:

渡邊 一伸(ナベさん)

大工歴35年。大手ハウスメーカーで2年間現場監督に従事。3000棟以上のリフォーム・住宅修理の工事管理の実績をもつ。阪神淡路大震災においては1年間復興財団に奔走。その後、独立し、会社を10年経営。2016年に1月に株式会社ローカルワークスに入社。