2022年11月10日

コーキングの役割と補修工事の内容について解説します

コーキングは建物の防水性や気密性の確保に欠かせない工事です。 工法や材質が様々あるため、コーキングを行う箇所に適切なものを選ぶことがポイントです。 コーキング補修前に確認しておきたいコーキングの特徴や施工費用、注意点などを詳しくご紹介します。

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コーキングの基礎知識

コーキングの基礎知識

建物の内装や外装工事にコーキングは欠かせません。コーキングにはどのような役割があるのか、また、コーキングと一緒に話題にされるシーリングとは違いがあるのかをご紹介します。

コーキングとは

コーキングとは、建物の合わせ目やすき間にコーキング材を充填することで建物の気密性や防水性を高める工事のことを指します。 たとえば、窓枠は壁に穴を開けてはめ込む場合、そのままではすき間があるため雨水が浸入してしまいますが、コーキングですき間を覆うことで雨水の浸入を防ぐことが可能です。

コーキングとシーリングに違いはあるの?

シーリング(sealing)とは英語で「密着、密閉」という意味のことばです。

リフォームなどの工事現場では、すき間に蓋をするための工事のことを指します。 この作業は、コーキングと同じ作業を指すことばなので、コーキングとシーリングは同じものとして考えて結構です。

コーキングの寿命ってどれぐらい?

建物内外の気密性を保つのに欠かせないコーキングですので、不具合が生じる前に補修を行うことが大切です。コーキングの寿命の目安は何年なのか、寿命になるとどのような症状が見られるのかをご紹介します。

コーキングの寿命

コーキング材は膨張や縮小を繰り返しているため、サイディングボードやパネルと比較すると長持ちせず、5~10年が寿命とされています。 寿命にやや幅があるのは、使用しているコーキング剤の品質と建物のある地域環境(雨が降りやすい、気温など)によるものです。

コーキングに含まれる可塑剤の改良が進んでいるとはいっても、10年以上のものは補修する必要があります。

コーキングの寿命のサイン

コーキングは寿命になると細かいヒビや割れ、コーキング材の剥がれなどが見られるようになります。 さらに、すき間を埋めていたコーキング材が細くなることですき間が大きくなるというケースもあります。

コーキングの寿命ってどれぐらい?

これらの症状が見られるにもかかわらず放置していると、ひび割れやすき間から外壁の内部へ雨水や湿気が浸入し、外壁の防水機能が低下してしまいます。 外壁の防水機能が低下すると建物の基盤や土台まで雨水などが浸入し、建物の強度にまで影響を及ぼします。

コーキングの劣化が見られたらすぐに補修を行うことが重要ですので、補修のタイミングを逃さないためにも、定期的にコーキングのひび割れや剥がれの有無を確認しましょう。

コーキングの種類とその特徴

コーキングの寿命を迎えたらすぐに補修を行うことでご自宅の安全性が確保されるため、コーキングのひび割れなどを確認したら早めの工事が大切です。

コーキングに使用される材料はいくつかあり、それぞれメリットやデメリット、適した箇所が異なります。コーキングの補修工事を行う前に、コーキング材についても確認しておきましょう。

①シリコン

コーキングの種類とその特徴

出典:セメダイン

シリコンのコーキング材はコストパフォーマンスが良く、ホームセンターなど簡単に購入できます。乾燥の速さや耐久性の高さも特徴です。プライマーと呼ばれる、下塗り塗装を行わなくてもでも施工可能な程の密着性があります。

ただし、シリコンを充填するとシリコンオイルが常に出続けるため、上から塗装を行えなくなります。 また、再塗装する必要がある場合は一度シリコンを撤去する手間がかかり、撤去する量によっては撤去費用が別途かかります。

シリコンオイルが周囲を汚すというデメリットもありますので、ガラス周りやキッチン、浴槽周辺など塗装しない場所の使用に適しています。

②変成シリコン

コーキングの種類とその特徴

出典:セメダイン

変成シリコンは名前にシリコンとついていますが、シリコンとは特徴やおすすめの使用箇所が異なります。 硬化後も上から塗装可能で、周辺の汚染が少ないのが特徴です。金属類への使用可能なほど幅広く使用できるのも特徴で、ご自宅で使用するコーキングに迷ったらこちらが無難でしょう。

ただし、シリコンと比較すると価格が高く、施工には下塗りが必要なため、手間と費用がかかります。 また、上に使用する塗料によっては、はじきやべたつきが生じる場合があります。 建物の内外装の目地やサッシ周り、モルタルやコンクリートの目地やひび割れ、タイル目地の他、屋根材や金属の目地、接合部のシールなどにもご使用いただけます。

③ウレタン

コーキングの種類とその特徴

出典:セメダイン

上に塗料を塗れたり周囲の汚染が少ないなど、変形シリコンと共通の特徴を持ちながら変形シリコンよりも価格が安いのがメリットです。 非常に優れた耐久性も特徴のひとつといえます。

ただし、紫外線に弱いためガラス周りや露出目地には使用できません。 さらに、アルコールと反応すると硬化しにくくなるため、アルコール類を発散させる材料やシリコン系コーキング材との併用はできません。

ウレタン防水などの端末シールや下地処理に使用される他、充填後塗膜を被せる場合のみ建物の内外装やサッシ周り、モルタルやコンクリートの目地やひび割れ、タイル目地などでお使いいただけます。

④アクリル

コーキングの種類とその特徴

出典:コーナン・オリジナル

アクリルは硬化後に弾性体になるため、湿った箇所にも使用できるのが大きな特徴です。 上から塗料を塗れるため扱いやすいのはメリットですが、耐久性が低かったり、補修後にコーキング材が痩せるというデメリットもあります。

モルタルやコンクリートの目地やひび割れ、タイル目地に使用できる他、ALCのパネル目地などでお使いいただけますが、ニーズが少ないのが現状です。

⑤ポリサルファイド

コーキングの種類とその特徴

出典:セメダイン

耐久性があり、表面にゴミやホコリがつきにくいのが特徴です。 ただし、柔軟性があまりないため、金属類への使用には適しません。

また、仕上げ材が塗料を変色・軟化させることがあるため、塗装を行う際には汚染防止処理が必要になります。 人によっては臭いが苦手という方もいらっしゃいます。 建物の外装のタイル目地やサッシ周り、カーテンウォールや石目地などで使用可能です。

コーキングのメリット

コーキングのメリット

コーキング材には様々な種類があり、それぞれメリットもデメリットも異なるため、使用箇所に合うものを選ぶことが大切です。 それではコーキングのメリットをさらに詳しく見ていきましょう。

雨水の浸入を防ぐ

サイディングと呼ばれる建材を外壁に1枚ずつ取り付ける際、わずかにすき間が開いています。 ガラスをはめ込む場合でも外壁の一部がくり抜かれた状態なので、サッシと外壁の間に必ずすき間が開いてしまいます。

すき間がある状態ですと雨水が浸入し、外壁が腐食する原因になります。 雨水の浸入が建物の基盤にまで進行すると建物の土台も腐食し、強度に影響を及ぼします。 コーキングはすき間を埋める働きがあるため、雨漏りの防止につながります。

 サイディングボードやパネルの衝撃を和らげる

サイディングボードやパネルを重ねるように張り付けると、気温や湿気の影響で膨張や縮小が繰り返されます。 これがひび割れや剥がれなどの原因といわれています。

そこで、柔らかい特性を持つコーキングをボードやパネル同士のすき間に注入することで、コーキング材がクッションのような役割を果たします。 お互いに傷つくことを防いでくれるため、ひび割れや剥がれなどを防止します。

コーキングの工事方法

保護する場所によって適切なコーキングの種類が異なることをご紹介しました。 実際の工事方法は大きく2種類ありますのでそれぞれの特徴をご紹介します。

打ち増し

打ち増しは、既存のコーキング材の上からコーキングを継ぎ足す工法です。
コーキングを撤去する必要がない分工事期間や費用を抑えられるのが特徴です。 ただし、強度を失ってひび割れした場合、古いコーキングを撤去してから新しく補修したものと比較すると強度は弱くなってしまいます。

また、既存のコーキングの内部や裏側のひび割れやすき間などに気がつかない可能性があります。 さらに、新しいコーキングと古いコーキングは馴染みにくく、打ち増し箇所は剥がれやすいので寿命は2~5年程度といわれています。

打ち替え

打ち替えは、既存のコーキングを完全に撤去してから新しいコーキングを注入する工法です。 打ち増しと比較すると手間がかかるため工事費は高くなりますが、目地のすき間をしっかり埋めることができるため防水性や柔軟性が確保されます。 寿命は7~10年が目安ですが、長くて12~15年もつケースもあります。

コーキング補修費用

コーキングは寿命がくると補修が必要となります。その際の費用が気になる方は多いのではないでしょうか。そこで、ここでは補修費用の目安をご紹介します。

打ち増しの場合、1㎡あたり500~900円が相場です。 打ち替えになると既存のコーキングの撤去費として1~3万円かかり、コーキング自体が打ち増しと比較すると多く必要となるため、コーキング代は1㎡あたり900~1,200円かかります。

どちらの工事共、高所の作業が含まれると足場の設置費用として別途15~20万円ほどかかります。

DIYでのコーキング補修の注意点

コーキング風景

コーキング工事で適切な種類や工法を選ぶことは、建物の耐久性に影響を及ぼします。しかし、補修や塗装中にも注意点がいくつかあり、正しい工事を行うことでさらにコーキングは意味のあるものになります。コーキングの補修や塗装で気をつけるべきことをご紹介します。

プライマーからコーキングを極端にはみ出させない

コーキング自体が製品によって仕上がりに違いが生じます。 しかし、どの製品でも下塗り塗装が必要なものを使用する場合は、コーキングする箇所から極端にはみ出してプライマーを塗布すると、はみ出した箇所から剥離が起こってしまい、防水機能が大きく損なわれます。

ただし、はみ出しを恐れて極端に少なくしてしまうとコーキングが密着せず、すき間から雨水の浸食が起こります。適切な量のプライマーの塗布がポイントです。

コーキングと外壁の色を合わせる

コーキングは様々な色から選択できるため、外壁の色に合う色を選ぶことをおすすめします。

外壁塗装は経年と共にひび割れするので、外壁と近い色であればコーキングが露出してもひび割れが目立ちにくく、美観を保つことが可能です。 弾性塗料はひび割れが起きにくいためおすすめです。

外壁塗装が乗るコーキングを使用する

コーキングには様々な種類がありますので、あらゆる素材の外壁に使用できる塗装を選んでおくと、外壁を塗り替える時に余計な作業が不要となり、円滑に工事を進めることができます。

できるだけ打ち替えをする

打ち増しは既存のコーキングを撤去せず、上から新しいコーキングを継ぎ足すため、工事期間や費用を節約することができます。

一方、新しいコーキングと既存のコーキングが馴染まないと、剥がれの原因となってしまいます。 外壁塗装を綺麗に行っても、コーキングが剥がれてしまっては美観は損なわれるだけでなく、防水機能も低下します。

打ち増しは打ち替えよりも頻繁に補修が必要になります。 長い目で見ると手間も費用もかかってしまいますが、事情が無い限りは打ち替えでの工事をおすすめします。

まとめ

コーキングは建物の安全性の確保で欠かせない工事です。 様々な種類や工法、注意点がありますので、補修箇所と見比べながら、適切な材質を選ぶことが大切です。

寿命が来たコーキングは著しく防水機能が低下している可能性がありますので、寿命の際には必ず工事を行い、雨水などからご自宅を保護できるコーキングを保ちましょう。

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監修者:

渡邊 一伸(ナベさん)

大工歴35年。大手ハウスメーカーで2年間現場監督に従事。3000棟以上のリフォーム・住宅修理の工事管理の実績をもつ。阪神淡路大震災においては1年間復興財団に奔走。その後、独立し、会社を10年経営。2016年に1月に株式会社ローカルワークスに入社。